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前の話 秋雲がお澄まし顔で椅子に座っている。私は座布団の上に胡坐をかいて白いページと右手にもった鉛筆を交互に見ていた。 「提督~まだまだー?」 楽しそうな煽り声に私は少しむっとした。 「前にも言っただろう、絵心はないんだ!五歳児に描かせた方がまだマシなレベルだぞ」 ケラケラと秋雲は笑いながら足をバタバタさせた。 「いいじゃんいいじゃん、無茶なお願いじゃないでしょー?ほらほら、手を動かす」 「…後悔しても知らないぞ」 私は諦めて鉛筆を動かした。秋雲を見ながら、チラチラと白いページに目配せする。ゆっくり、ゆっくりと黒い線が描かれていったが―――――これは宇宙生物か何かだろうか?秋雲のように上手く描けるとは思わないが、もう少しまともに描けないのか、と自分自身に落胆する。秋雲は椅子から立ち上がって私に近寄った。スケッチブックに顔を覗かせてすぐに「プッ!」と噴出した。 「ちょっと提督~秋雲さん全然かわいくないんですけどぉー!」 大袈裟に笑いながら畳の上を腹を抱えて転がった。憎たらしいその行動にふつふつと怒りがこみあげてきた。 「……もうやってられるか。終わりだ、終わり」 私はバンッとスケッチブックを閉じてそっぽを向いた。ドタドタとした音がピタリと止んですぐに右肩に重みを感じた。 「まぁまぁ~じゃあさ、秋雲さんが提督に絵を描くコツを教えてあげるね~」 「……コツ?宇宙生物をミミズにする方法か?」 アッハッハ!とまた高い笑い声が響いた。バンバンっと強く右肩を叩かれる。少し痛い。 「あのねぇ提督ー 対象を見ながら触ったらジョーズに描けんだよー」 秋雲は私の手を取ると自身の顔へくっつけた。初めて触れた秋雲の頬は決して冷たくなかった。体温があった。私は指を少し動かした。ふにふにと、頬の弾力を指の腹に感じた。秋雲はくすぐったそうに笑った。 「もっと触ってもいいよー」 私は手を動かして顎の下をなぞった。男のそれとは違い柔らかくて滑らかで細い。それから首の後ろへと指をゆっくり移動させた。親指で耳たぶを何度か押したり引いたりして、親指と人差し指で挟み込んだ。柔らかな感触が気持ちいい。耳たぶの柔らかさを堪能した後はまたさらに指を奥に進めて指先が項に届いた。肌の表面を上下にゆっくりと撫でる。 「……んっ」 微かに聞こえた声に私の体がビクリっと跳ねた。秋雲に触れていた手をサッと引っ込める。先ほどまで女の体をなぞっていた手を凝視した。思えばこうやって異性の体に触れるのは久方ぶりだった。基地には艦娘がいるが、仕事のパートナーとしての付き合いを徹底している。見た目の美しい艦娘は多かったが、私は彼女たちをそういう目で見たことがほとんどなかったし、そういう風に触れたいとも思ったことがなかった。性欲は人間の三大欲求の一つだ。どうしても溜まってしまった時は一人で処理をしたし、たまに遠くの街へ出てそういった店を訪ねていた。艦娘たちと一定の距離を保つために思わせぶりな行動をしないように気をつけていた。しかし、私は今何をした。秋雲は触ってもいい、と言った。私は自分で定めたルールも思い出さず、秋雲に触れた。秋雲が声を出さなければもっともっと、彼女の体を堪能しようとしたはずだ。何よりも驚いたのが、私はこの状況に性的興奮を少なからず感じていることだ。 「どーしたのさ提督?触んないの?」 秋雲が不思議そうに私を見上げる。その無垢さがいやらしい気持ちを抱く私を責め、同時にゾクゾクとさせた。これ以上秋雲に触れたら引き返せなくなりそうだ。私は頭を横に振る。 「もう充分だ。下手なりにちゃんと描いてやるさ」 そう言って秋雲と距離を取ろうとした時、強く腕を掴まれた。ニヤニヤ顔が私を見つめている。 「あ~提督ぅ、もしかして秋雲さんに触ったらこ・う・ふ・ん・しちゃったの~?」 興奮の言葉を意地悪く強調される。私は慌てて頭を振った。 「そ、そんな訳がないだろう」 秋雲の手を離そうとしたが逆に秋雲が私に顔を近づけた。 「提督っていちおー女に興奮するんだ?艦娘に全然靡かないし、正直そういう趣味の人かと思ってた」 「からかうのもいい加減にしろ!」 秋雲の肩を掴み私から引き剥がそうとした。 「いいのぉ?秋雲さんは、いいよ」 その言葉に腕の動きが止まった。 「提督になら、私、好きにされてもいいよー」 猫が頬を摺り寄せるように、秋雲は肩の上にある私の右手に顔を押し付けた。私を淫らに誘う女の目をしながら。その姿にゴクリッと喉が鳴った。同時に一つの疑問が浮かび上がる。 「………お前は、私をそういう風に慕っていたのか?」 生前の秋雲との付き合いは私にとって気軽であった。秋雲の私を見る視線には恋愛感情の類を全く感じなかったからだ。馴れ馴れしく私に接することはあったが、小動物にじゃれつかれているか、姪が叔父に懐くような、そういうものを感じていたから、私は他の艦娘よりも秋雲といるのが好きだった。 「多分、違うんじゃないかな」 秋雲は私の右手から顔をあげた。 「生前の私は提督のことは良い上司として好きだったよ。他の艦娘が提督にラブアピールしても全然気にならなかったし、嫉妬もしなかった。今も同じ気持ち。提督とこの部屋で過ごしている間に全然そういう雰囲気にならなかったのは、…私の時間も心も死んだあの時で止まっていて、新しい感情は生まれてないからじゃないかなー今もこう、胸がキュン!となってないし」 「……では、何故好きにされてもいい、など…」 さぁね、と秋雲は微笑んだ。 「でも提督が秋雲を求めるなら、それに応えてもいいかなーって。お礼代わり、って意味もあるかも」 二人の間に暫く沈黙が流れた。その沈黙に居心地の悪さを感じたのか、秋雲の微笑みに困惑の色が見え始めた。 「ごめんね~…提督のことそういう風に好きだったらまだ気分のって出来たよね……うーん、その、提督が嫌なら別にしなくてもいいよ。ただ、提督が秋雲の絵を描いてくれるだけでいいし……?提督?」 秋雲が戸惑った声で私を呼ぶ。私が秋雲の頬に触れたからだ。 「……本当に、いいんだな?」 私の右手に秋雲の手が重なる。 「絵もちゃんと描いてね~」 私はフッと笑みを零し、微笑む秋雲の小さな唇にそっと自分のを重ねた。 秋雲の体はまるで中学生のそれを同じだ。発展途上の体つきであり、初々しく穢れを知らない。とても白くて眩しい。服も下着もすべて脱がされ、一糸まとわぬ未熟な仰向けの体は布団の上で一人の成人男性の手によってゆっくりと撫でられている。秋雲は自分から誘ったが、こういったことには慣れてないようでいつもの悪戯心溢れる顔つきが今は羞恥で赤くなっていた。その情景は私の興奮をさらに加速させる。女としてまだ成長途中の果実を食す行為に背徳と罪悪と、喜びを私は感じていた。白くて柔らかな体を堪能していると、小さな手が私の右手の甲を軽く抓った。空いた手が私の膝の上にあるスケッチブックを指差す。私は渋々手を離すとスケッチブックと鉛筆を掴み、白い空間に線を描き始めた。秋雲の体とページを交互に目をやる。秋雲は描く対象を触れば絵が上達するとはいったが、触れる前に描いたものとそう大差ないものが出来上がりつつある。絵に達者な秋雲が言うのだから実際に効果があるのかもしれないが、今までとんと絵を描いたこともない素人が同じ方法を試してもその努力がすぐに反映される訳がないのだ。ただ違う点を挙げるとすれば、今は描きながら興奮している事だ。白い空間に描かれていく歪な線の集まりを見ただけでも気分が昂っていた。早く触りたい、と。 ある程度描き終えるとページをめくり、また膝の上に置くと手を少女の裸体に伸ばし、触った。秋雲は目を細めて体を震わす。その震動が手に伝わった。手はゆっくりと腰のラインに沿って下に移動し、太腿に到達した。軽く揉むとその柔らかさが心地よい。五本の指でぐにぐにとこねていると小さな声が聞こえた。秋雲の顔を見ればさらに頬が紅潮していた。私は膝のすぐ下まで手を持っていくとグイッと持ち上げた。秋雲の細かった目がビクッと大きく見開いた。私はスケッチブックを横に置き、体勢を変えた。持ち上げた片足を前に寄せて顔を近づけ、目の前の膝小僧を舐める。足がピクリと跳ねた。舌先から甘い味が広がる。私はさらに体を屈めて唇を膝小僧から下へ、脚の付け根へと這わす。チロチロと舌で太腿を味わい続けているとグイッと頭を押された。秋雲の手が私の動きを制しているのだろう。私は空いた手で秋雲の手を掴むと無理矢理引き剥がした。そのまま舌で秋雲の体をなぞる。秋雲が抗議の声をあげるが、無視をして腹を舐めた。高い声が鳴った後、続いて笑い声がした。どうやらくすぐったいようだ。私が脇腹の近くを甘く噛むと肩をバンバンと叩かれる。体も私の責めから逃げようとグイグイ動いていたが私から離れないように押さえつける。しばらく暴れていたが、諦めたのか大人しくなった。私は唇を上へ上へと移動させ、小さな膨らみの上を進み、突起を口に含んだ。固くなった突起を舌でグリグリと弄ぶ。胸がやけるような甘い味と香りに目眩を覚えそうになる。何度か女を抱いた経験はあるが、初めて好きな女を抱いた時のような高揚感を今思い出していた。私は胸から口を離すと秋雲の顔を見た。秋雲は荒い息を吐きながら赤らんだ顔で私を見つめ返している。唇が小さく動いた。提督、と呼ばれた気がして、私は顔を近づけ、服を脱がせる前にしたように、秋雲と唇を重ねた。秋雲の唇はとてもあたたかい。まるで本当に生きているようだ。死んでいるなんて、信じられない。僅かに開いた隙間に舌を差し込む。口内もあたたかかった。己の舌が秋雲のそれに絡みつき何度も何度も熱を確かめる。熱は一向に引く事はなく、益々熱くなっているようだった。その熱が嬉しくて私は、私は、 ペシペシと頬が叩かれた。秋雲の手だ。呼吸が苦しくなったのだろうか、私は秋雲から唇を離した。名残惜しそうに唾液の糸が私の舌先から垂れた。おかしなことに秋雲の顔がゆがんでぼやけている。 「……なーに泣いてんのさ、提督」 秋雲の言葉で、ようやく私は自分が泣いていることに気付いた。秋雲の手が伸びて私の頭を優しく撫でる。 「そんなんじゃ絵なんて描けないよー」 秋雲は上半身を起こすと私の顔に近寄り、目尻を舌で舐めた。溢れる涙と、涙が伝った頬をあたたかな舌が拭っていく。何か言葉をかけようと思ったが喉が詰まって何も言えなかった。 「……提督、秋雲、本当は自分が沈む所を描いて欲しいんだよね~」 私は驚いて秋雲を見た。 「でもそんなの、誰にも頼めないっしょ。でも誰かに秋雲のこと描いて欲しかった。それが提督で良かったよ」 横に置かれたスケッチブックを秋雲は手に取った。パラパラと前のページをめくる。最初の一枚は椅子に座っている着服の秋雲、二枚目からは服が乱れ、ページが進むごとに肌の露出が高くなっていた。絵が下手でも、その程度のことなら第三者の目から見ても分かる、はずだ。秋雲はからかうことも茶化すこともせず、静かに絵を眺めていた。その横顔は穏やかな笑みだった。私も涙がようやく落ち着き、目を強く服の袖で拭った。秋雲に近づき彼女の手からスケッチブックを取り上げる。転がっていた鉛筆も掴んだ。 「……後ろ、後姿を描く」 りょーかい、と言って秋雲は私に背を向けた。私は白紙のページを開き、鉛筆を走らせた。 そうして私は、秋雲を白い空間に何度も描き、何度も体に触れ、何度も彼女の熱を確かめた。 そして、ついに夜が明けた。 雲一つない青空が広がっている。 その空の下、港に立つ瑞鶴は深呼吸をする。心臓の音が緊張で早くなっていた。 「そこに立ってると邪魔なんだけど」 「わっ! ……って、加賀…さんですか」 後ろにいる加賀を見て瑞鶴は眉間を顰めた。はぁ、と加賀は小さく溜息を吐いた。 「久々の実戦で怖いの?やっぱり貴方は出撃しない方がいいんじゃないかしら」 「な!んなことないですし!ただの武者震いですし!」 怒る瑞鶴を見ても加賀は表情一つ変えなかった。そう、と興味なさそうに呟くだけだ。 「瑞鶴落ち着いて…ほら、もう少しで出撃の時間よ」 慌てて二人の傍に来た翔鶴が瑞鶴を宥めた。瑞鶴は頬を膨らませてツンっと横を向いた。 「やれやれ…あの二人は相変わらずだな…」 それを見ていた長門は呆れているような声を出す。 「お前たち、準備はいいか」 長門が振り返ると提督がこちらへ向かって歩いていた。その後ろでは北上が前を歩く木曾のマントの裾を面白そうに持ち上げながら歩いている。 「あぁ、司令官。私はいいぞ。…多分あいつらもいいはずだ」 長門は親指で空母たち三人を指した。 「よし、ではみんな、並んでくれ」 提督の合図で横一列に翔鶴、瑞鶴、加賀、長門、木曾、北上が並んだ。 「本日は北方海域のアルフォンシーノ方面への出撃だ。深海棲艦がまたその辺りに集い始めているとの情報があった。第一艦隊はアルフォンシーノ方面に赴き、深海棲艦を見つけ次第すべて撃滅せよ。旗艦は瑞鶴とする。途中損害が酷ければ直ちに帰投しろ。また、基地へ到着するまでは決して油断するな。慢心せず、注意を払え」 はい、と六人は返事をした。 「そして瑞鶴」 「ふぁ!?な、何ですか」 提督に急に呼ばれて瑞鶴の声が裏返っていた。 「久々の実戦で不安なことはあるかもしれないが、お前もこの基地の大事な主力の一人だ。自信を持て、前を進め。頼んだぞ」 瑞鶴は目を何回もパチパチさせた後、ピシッと姿勢を正してはい!と大きく返事をした。 「加賀と翔鶴は瑞鶴のサポートをお願いする」 「承知しました」 「了解です」 よし、と提督は安心したように頷いた。 「それでは第一艦隊、出撃せよ」 雲一つない青空が広がっていた。 第一艦隊は予定通りに港を発った。艦娘たちは既に水平線の向こうへ消えている。 男が一人、プライベートルームのドアの前に佇んでいた。数十分も何もせずにそこにいたが、意を決したようにドアノブに手をかけた。ドアは難なく開き、男を部屋の中へと招く。男はゆっくりと足を進めた。居間への襖は閉じられており、玄関側は少し薄暗い。男は靴を丁寧に脱ぐと冷たい床の上を歩いた。襖の取っ手に手をかけ、深呼吸をし、開いた。 誰もいなかった。 何の声も聞こえなかった。 男は一人だった。 男はのろのろと窓際にある椅子へと向かった。椅子の上にはスケッチブックが一冊置かれていた。男はそれを手に取り中を開いた。 瑞鶴がいた。男が港で見送ってきた、瑞鶴がいた。久々の実戦に瑞鶴は小さな不安を抱いていたが、いざ出撃した時の彼女の背中は熟練の艦娘と変わらぬ、頼もしく力強いものであった。 その絵を見ながら、男は静かに涙を流した。 「翔鶴姉、早く早く」 瑞鶴は後ろで不安そうに歩く翔鶴に声をかけた。 「待って瑞鶴…あの、本当に大丈夫なの?ここに来ても…」 「大丈夫だって!だって提督さんが瑞鶴たちを呼んだんじゃん。来いってさ」 「そ、それはそうだけど…」 瑞鶴は大きく溜息を吐くと翔鶴の手を取った。 「いいからいいから、ほら行くよ!」 「あ、もぅ瑞鶴ってば!」 煮え切らない翔鶴の手を引っ張り瑞鶴は先へドンドン進んだ。基地で比較的新参者の瑞鶴にとってこの通路の先にある部屋に行くのは二回目だったが、翔鶴や他のほとんどの艦娘はこの建物自体に足を踏み入れたことがなかった。建物の存在は誰もが知っていたが、ある意味ここを訪れることは禁止にされていたからだ。この建物の最上階には提督のプライベートルームがあるのだが、提督はその部屋に自分以外の者が立ち入ることを酷く嫌っていた。緊急事態があれば携帯への連絡を徹底し、部屋を訪れることを許していなかった。提督に猛烈にラブアピールしていた艦娘さえ、押しかけ女房のように提督のプライベートルームに行くことは躊躇うほどだ。そんなことをしてしまったら最後、解体でも近代化改修の餌にでもされかねなかったからだ。しかし、つい昨日提督は瑞鶴と翔鶴に都合が悪くなければそのプライベートルームに来て欲しい、とお願いしたのだ。 「そう心配することないと思うよ。提督さん、最近はすっごく丸くなってるし」 瑞鶴の言葉通り、提督は変わった。サブ島沖海域で連絡が途絶えた艦娘たちの捜索隊が無事に彼女たちを見つけ帰投した後から、提督は瑞鶴の謹慎を解いた。それから瑞鶴を演習に参加させるようになった。先日は久々に海域へ出撃し、深海棲艦たちを蹴散らすことも出来た。装備も強いものを与えられ、瑞鶴は強くなる機会を取り戻したのだ。それに、ビジネスライクを思わせる提督の艦娘への接し方が前より穏やかなものへと変わった。ただしやはり、分かり易くラブアピールをする艦娘には全く隙を見せることはなかった。そういうおカタい所がいいのデース、なんてまた別の意味で火がついたようだが。 「でも何の用かしら……この間の出撃は深遠部まで行ってもみんなほぼ無傷で帰還できたのに…」 「さぁ…でも瑞鶴たちに関係あることを話すんじゃないかな。……色々と、さ」 提督は瑞鶴に寮外に出ることを禁止にした理由を未だに語らなかった。もちろん翔鶴にもだ。今までの非礼の謝罪しか聞いていない。 「その話だといいんだけどなぁ……あ、見えたよ、あの部屋だ」 二人はプライベートルームの前まで来た。ドアの右側には名札が貼ってあり、左側にはインターホンが設置されていた。そういえば、前にここに来た時は興奮していたからインターホンが目に入っていなかった。無遠慮にドアを叩いてしまったことを思い出し、瑞鶴は申し訳ない気分になった。気を取り直してインターホンを押そうとした時、瑞鶴は妙な違和感に気付いた。 「瑞鶴?どうしたの?」 「あ、いや、何か足りないなと思って…」 「足りない?何が?」 「うーん……なんだろ、ま、いいや」 瑞鶴がボタンを押すとピンポーンと機械音が鳴った。数秒ほど待つとガチャリとドアが開いた。 「瑞鶴、翔鶴、よく来たな」 「お、おはようございます…!」 目の前に現れた提督に、二人は頭を下げて挨拶をした。上からおはよう、と低い声が返って来た。 「来てくれてありがとう。さぁ、入ってくれ」 瑞鶴と翔鶴は恐る恐る部屋の中へと足を踏み出した。 「お邪魔します…」 提督のプライベートルームはとても質素なものだった。キッチンも綺麗に片付いており、汚いところはない。居間も本棚にギッシリ本が並んである以外、乱雑になっていなかった。ただ、窓から見た景色がとても綺麗であった。最上階であるこの部屋からは水平線も港も演習場も見渡せた。今日のように天気の良い日は、最高の眺めであった。瑞鶴と翔鶴が窓の景色を堪能していると後ろから二人の名を呼ぶ声がした。振り返ると提督が赤色のスケッチブックを差し出していた。近くにいた瑞鶴が受け取り、中を開いた。 「わっ すご…」 スケッチブックには多くの艦娘や基地の景色、そして深海棲艦の絵が描かれていた。どの絵も今にも動き出しそうなほど躍動感に溢れたものだった。 「ね、ねぇこれ!翔鶴姉だよね」 何十枚かめくった後に翔鶴のページが現れた。演習中の翔鶴を描いたもので、普段と違う真剣な表情に瑞鶴は目を奪われた。 「すごいなーかっこいいね、翔鶴姉」 翔鶴を見ると、その目が驚きで見開かれていた。自分の絵に驚いているというよりも、もっと別のことに目を奪われているような、そんな驚き方だった。 「確か瑞鶴の絵は数ページ先にあったはずだ」 「え?!本当?」 瑞鶴は急いでページをめくった。すると目当てのものが目の前に現れた。 「わぁ……」 瑞鶴はただ感嘆するしかなかった。先ほどみた翔鶴と違って動きのない絵だったが、その力強いタッチに瑞鶴の体は震えた。その震えには覚えがあった。そう、久々に出撃した時に感じたあの震え。 「それは先日描かれたものだ。瑞鶴の久しぶりの出撃の日に」 「すごい…!提督さんって絵の趣味あったんだね」 提督は頭を横に振った。 「これは私が描いたものではないんだ」 「え?じゃあ誰が描いたの?」 瑞鶴は頭をあげて提督を見た。提督は、フッと静かに笑った。その笑顔が何処か寂しそうに見えて、瑞鶴はドキリとした。 「絵を描くのが得意なやつがいたんだ…彼女は、瑞鶴と翔鶴を描きたいとよく言っていた。ついにその夢を叶えることができたんだ」 「あれ、そんな子いたんだ…?」 瑞鶴は首を傾げた。瑞鶴はこの基地にいる艦娘全員とは顔を合わせた記憶があるが、誰からもそういった話を聞いたことがなかった。 「瑞鶴、その子にお礼言いたいな。こんなにかっこいい翔鶴姉と瑞鶴見れたもの!」 提督は再び頭を振った。 「…すまない、彼女はもうここにはいないんだ」 「え?!そ、そうなの?なんだ、いないのか…」 残念だね翔鶴姉、と声をかけようとして隣を見ると、翔鶴の表情は相変わらず険しかった。何が翔鶴をそこまで驚かせているのか、瑞鶴は不思議で仕方なかった。 「…翔鶴姉?どうしたの?」 「あ、……ううん、何でもない。何でもないわ」 翔鶴は瑞鶴に笑いかけると提督に顔を向けた。 「その人はもう、ここには戻って来ないのでしょうか」 「そうだな、きっと」 「そう、ですか…」 翔鶴と提督は黙り込んだ。二人の間に妙な沈黙が流れる。まるで二人だけは通じ合っているような、そんな沈黙。その沈黙に段々瑞鶴は居心地の悪さを感じ始めた。 「そういえば」 先に沈黙を破ったのは提督だった。 「賞状と勲章は受け取ることにした」 賞状と勲章?瑞鶴には何の話か全く分からなかったが、翔鶴が嬉しそうに声を上げた。 「提督、本当ですか?」 「あぁ。何となく吹っ切れてな、頑なに跳ね除けなくてもいいかもしれないと思い始めたんだ。これで友人の小言からも解放されるが…… 戦ったのは私ではなく艦娘たちなのに、私の名で授与されるのが申し訳ない」 「私たち艦娘は貴方の下にいたからこそ周りから称えられるような戦果を残せたのです。私たちのことは気にせず、貴方が受け取ってください、提督」 「翔鶴……ありがとう」 先ほどよりもさらに濃厚な二人の空間に瑞鶴は気圧されていた。提督と翔鶴を交互に何度も見遣り、あー!と急に声を出した。二人は驚いて瑞鶴を見る。 「ちょっと!賞状とか勲章とか何の話?!あとスケッチブックも!結局誰が描いたのよー!瑞鶴を置いて二人の世界を作らないで!」 「ご、ごめんなさい瑞鶴…そういうつもりじゃなかったんだけど…」 翔鶴はおろおろしながら瑞鶴を宥めた。 「っていうか!提督さんはどうして瑞鶴を外出禁止にしたの?瑞鶴何かやらかしたの?」 瑞鶴は一番の疑問を提督にぶつけた。提督は申し訳なさそうに眉間を歪める。 「すまない瑞鶴。お前を閉じ込めた理由だが…聞かないで貰えるか?君にはとても悪い事をしたと思っている。しかし私はその理由を告げることはできない。少なくとも、まだ今は」 瑞鶴は提督を見つめる。提督は目を逸らさなかった。瑞鶴には提督が何を考えているのかが全く読み取れなかった。しかし、瑞鶴に外出禁止を言い渡した時よりも、優しい目をしている気がした。 「……分かった。じゃあ聞きません」 渋々瑞鶴がそう言うと、提督が安心したように笑った。 「ありがとう、瑞鶴」 ドキリと、また瑞鶴の胸が疼いた。ビジネスライクの笑顔とは違う、何処か純朴な笑顔だった。 「ところで、この後は二人は予定はあるのか?」 「いえ、何もありませんが」 翔鶴が答えると、提督がそうか、と呟いた。 「昼が近いが、一緒に食べないか?カレーを作ってあるんだ」 「えっ えぇ!?」 瑞鶴は提督の誘いに驚きを隠せなかった。艦娘と距離を置いて接してきた提督が自らその艦娘を食事に誘うのだ。提督が以前と変わってきていることは感じていたが、ここまでその変化が影響しているのかと瑞鶴はある意味感心していた。 「久々にこの部屋で誰かと一緒に食べたくなったんだ。間宮の料理がいいなら、無理に付き合わなくてもいいが」 「えっと、瑞鶴はいいけど…翔鶴姉も大丈夫だよね?」 翔鶴はえぇ、と頷いた。 「是非、ご一緒させてください」 二人の返答を聞いて提督はちゃぶ台を指差した。 「ならゆっくりしていてくれ。準備してくる」 「何かお手伝いできることがあればやりますが」 「翔鶴も気遣わなくていい。あぁ、本棚にあるものは読んでいて構わない。他のスケッチブックもあるから見るといい」 提督はそう言うとキッチンの方へ消えていった。瑞鶴は翔鶴と顔を見合わせた。 「えぇっと…じゃあ、ゆっくりしましょうか、瑞鶴」 「うん…あ、他のスケッチブックも見たい」 瑞鶴は本棚の方へ行くとスケッチブックを探した。上から四段目の棚にスケッチブックが並んでいた。青、赤、黄色、緑――――――様々な色の表紙だった。 「黒はないんだ…」 瑞鶴は適当に四冊ほど取ってちゃぶ台に戻った。座布団に座って待っていた翔鶴の前にスケッチブックを置く。 「あ、ねぇ翔鶴姉はこの絵を描いた人のこと知ってるの?」 「え?どうして?」 「いや…何か知ってそうだったから」 翔鶴は困ったように笑った。 「…思い当たる人はいるけど…私の勘違いかもしれないから。それに提督は話したくないようだから、私も話さないわ」 「話したくないって…それって瑞鶴を閉じ込めた理由だけじゃないの?」 「もしかしたらそれに関係する人かもしれないから、ね」 翔鶴の話は腑に落ちなかったが、瑞鶴はそれで納得するしかなかった。仲間外れにされた気分だが、二人とも話す気がないから深く問い詰めるのも気が引けた。 「……じゃあさ、賞状とかの話は?」 「南方海域まで行けるようになったでしょう?それの表彰よ」 「そうなんだ…って、何で翔鶴姉が知ってるの?」 「提督のお知り合いの議員の人が話してくれたのよ」 「ふーん…」 外出禁止を命じられている間、翔鶴以外の艦娘との交流もあまりなかった。会話までは禁止されていなかったが、理由が不明なのと提督の態度に周りは瑞鶴とどう接していいのか分からなくなっていたらしい。寮外に出ることを禁止されている瑞鶴に外の話をすることで瑞鶴を傷つけるのではないか、と心配していたことを他の艦娘から聞いた。謹慎を解除されてからは艦娘たちは色んな話を瑞鶴にしてくれた。あの加賀でさえ、演習場では瑞鶴の面倒を見たり海域ではフォローをしてくれた。提督の命令もあったからだろうが、何となく加賀の優しさも感じないこともなかった。そうやって周りが瑞鶴との距離を埋めようとしていたしそれを嬉しくも思っていたが、やはり、寂しさは拭えなかった。 瑞鶴はスケッチブックを一冊取って中を開いた。先ほど翔鶴と一緒に見た物に描かれていなかった艦娘がいた。遊んでいる所や寝ている所、ご飯を食べている所など、日常的な場面が多く描かれていた。間宮が料理を作っている絵もあった。仕事中の提督もいた。そこには瑞鶴の知らない光景ばかり描かれていた。 「カレーが出来たぞ。上を片付けてくれ」 提督の声が聞こえ、瑞鶴と翔鶴はちゃぶ台に置いていたスケッチブックを床に置いた。提督はトレイにカレーを二皿乗せて運んできた。カレーの良い香りが鼻の奥を擽り、口の中で涎がじわりと溢れる。提督は瑞鶴と翔鶴の前にカレーを置くとまたキッチンの方へ行った。美味しそうなカレーを前にしてぐぅ、と小さな音が瑞鶴の腹から鳴った。恥ずかしそうに顔を赤らめる瑞鶴を見て翔鶴は小さく笑う。 「笑わないでよ翔鶴姉!」 「ごめんなさい怒らないで…ふふ」 提督が片手にカレー、片手にスプーンを三つ持って戻って来た。ちゃぶ台の前に座るとスプーンを二つ、瑞鶴と翔鶴に渡した。 「待たせたな、じゃあ食べよう」 提督は手を合わせた。瑞鶴と翔鶴もそれに倣う。瑞鶴は手を合わせながら、絵描きの人がいたらこの場面も描いてくれただろうか、と考えた。瑞鶴はまだ色んな事を知らない。絵描きの人が知っている景色のほとんどをまだ直接見た事がない。それはとても寂しいことではあるけれども、これから自分自身の目で見ていけばいいのだ。きっとそこには絵描きの人が知っている景色も、知らない景色もあるだろう。 けれども、今は、この食事を楽しむのが先だ。 「いただきます」 三人の声が重なった。 今日は金曜日、カレー日和だ。
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前回の話 「今日の戦艦の防御力は凄かったね~……」 北上が納得の行かない演習結果に疲れたようにぼやく。 「完っ全に作戦が悪かったのよ……」 戦術的には勝利判定となったのに大井も不満気だ。 「………」 その二隻の小言に挟まれる指揮官の自分は、少しではあるが肩身狭さを感じ反論は一つもできない。 練度をひたすらに極めた相手艦隊の戦艦はデータ上は低速であるはずだが、 装甲の厚さと侮れない回避力を前に決定的な打撃を与えられなかったのだ。 それに加え、嘗ての海軍に見限られる程に魚雷とは元来命中率の低い艦装であり、 努力で完全に克服できる柔な宿命ではない事も熟知しているつもりだ。 かと言って本当の意味での重雷装艦とさせた魚雷のみの大井と違い、 比較試験のため片腕に主砲を残している北上が大井よりも良好な戦果を挙げたかと言えばそれもまた難しいもので、 果たして此奴らはどのように運用するのが正しいのか、 長い目で見てきても未だに結論付ける事が出来ないでいる。 北上が言うように此奴ら重雷装艦とは甚だ扱いが難しい船で、戦艦のように単純明快とはいかない。 それでも何故此奴らを使い続けているかと言うとそれは自分の趣味でしかなく、 此奴らにその事を尋ねられた時は何時だって重油を濁してきた。 特に練習艦として使われ続けるうちに作戦内容に敏感になっていった経歴を持つ大井の前でそんな本音をほざいてみろ。 冷たい魚雷でぶん殴られ木の床に沈められるのは目に見えている。 「あらやだ。北上さん、碌な作戦も考えられない提督ったら何も言えないみたいね」 「まあそう言わないであげなよ。提督も提督なりに考えてるんだからさ、って……」 「……やっぱり何も考えてないんじゃないんですか? 提督笑ってますし」 しまった、顔に出ていたか。 私の顔なんか見上げていないで二隻だけで和気藹々と駄弁ってくれればよかったものを。 「笑ってない。作戦は真剣に考えているつもりだ」 焼け石にバラスト水であろうと、念のため取り繕っておく。 次に聞かれたら重油をどう濁すのが格好付くか、とか、 これだから重雷装艦は面白いだとか考えていたのがばれるのは此方としては面白くないのだ。 「いや笑ってたよね」 「笑ってましたね誰が見ても」 「笑ってない」 「笑った!」 「笑いました!」 「笑ってない!」 ああもうゲシュタルト崩壊するからやめてくれ。 馬鹿みたいな言い争いを繰り広げながら廊下の右への曲がり角の一つで立ち止まろうとする。 すると。 どんっ! 「うわっ!」 曲がり角の側を歩いていた北上に突然衝突された。 衝突と言っても小突くような程度のもので、自分に被害はない。 北上はその後よろめいて尻餅を付いた。 正確には、北上に衝突されたと言うより……。 「いったー……」 「ううぅ、またやっちゃ……え?」 同じく床に座り込んで頭を押さえ唸っているのは、軽巡阿武隈であった。 どうやら自分らが五月蝿く騒ぎ立てていたせいで、阿武隈が廊下を走っていた事に気付けなかったらしい。 "廊下を走るな"の貼り紙を"廊下は静かに歩け"と書いたものに変えるべきかもしれない。 阿武隈が掟を守る気がないのか、貼り紙に気付かないのかは定かではないが、どちらにせよ効果は薄そうだ。 「き、北上さん、と、大井さん……」 貼り紙だけでなく私も見えないのか。 書いた者の存在感が薄いと貼り紙もそうなるのか。 怒っていいか。大井が。 「阿武隈ちゃん? "廊下は走るな"って、書いてあるわよねぇ?」 突き当たりの壁に貼られたそれを指差してくれる。 ありがとう大井。大好きだ。 「乱暴な字ですけど」 五月蝿い。 時間が推している時に何枚も手書きした物だから諦めろ。 座り込んだまま次第にこの世の終わりを悟ったような顔に変化していく阿武隈と、それを修羅の顔で見下ろす大井。 それは、何処から見ても蛙と蛇の図だった。 「ご、ごっ……、ごめんなさああぁぁい!!」 耳をつんざく大音量で放たれた謝罪の言葉が、ドップラー効果を持ってこの場に残る。 音爆弾の艦装は載せていない筈だが。 つまるところ、阿武隈は北上に当て逃げしていった。 せめてこの場で止まって謝罪していれば擁護する余地もあったのだが。 ところで、来た道を脱兎の如く全速力で戻って行ったが、阿武隈は何の用事があったのだろう。 「よくも北上さんを……、うふ、うふふふふ……」 「こら、美人がしちゃいけない顔になってるぞ」 演習を終えてすぐ艤装を下ろしていなければ阿武隈に攻撃していそうであった大井を窘める。 修羅を思わせる顔の歪め方をしていた大井は私の言葉にきょとんとし、 一呼吸置いて満更でもなさそうに少しだけ顔の歪みを戻した。 「……美人? そうですよねー、堅物気取りでヘタレな提督を骨抜きにしたんですからねー」 「あのな」 合ってるけれども。 「……いちゃついてないで助けてくれないかな」 「いちゃついてませんよ。……北上さん、立てる?」 大井は姉妹艦を心配するのみの顔付きに変化させ、手を差し伸べた。 大井の手を取り起き上がった北上の装甲は少々傷ついている。 「あーもう小破しちゃったよ。せっかく入渠したのに……」 この後すぐには出撃命令は出さないから、もう一度ドックへ行くか明石の世話になってきなさい。 ただ高速修復材の使用は控えてくれ。 あまり時間もかからないだろうし、何よりこんな下らない事故で一々使っていられない。 兎にも角にもあの阿武隈には後で私から言っておくから許してやれ。 「え? あの娘のところに行くんですか? …………」 どうした。自分で手を下さないと不満か。 「あんな娘の元なんかに……、いえ、何でもないの」 大井は取り繕うようにやけににっこりと笑って艦首を振る。 一先ず自分はこのまま執務室に行くから、大井は北上を連れて行ってやりなさい。 「いいよ、小破なんだからあたしだけで」 「駄目よ、また何か起こるかもしれないわ。守ってあげるから一緒にドック入りましょう!」 ドックまで連れて行ったら大井は戻るんだぞ。いいな。 「ッチ」 おい。 あの後阿武隈の部屋を訪ねてみたが、阿武隈は不在だった。 大井に襲撃される事でも恐れて逃げたか。 仕方なく執務室に戻り、演習前から置き去りにしていた書類に手を付けていると、扉が叩かれる音が響く。 「大井、戻りました」 うむ。 では早速で悪いがそこに分けておいた書類を処理してしまってくれ。 自分は此方の束に集中したい。 「分かりました。さっさと終わらせましょう」 そう意気込んで大井は私の隣に座り、筆を握る。 私の任務は小一時間かかりそうだが、大井の方は半時間もかからないだろう。 共に黙り込んで紙の束を消化していく。 自分の見込んだ通り、大井は時間をかけずに素早く消化してしまった。 やる事がない大井は姿勢を崩しながらも健気に私の作業の終焉を待ってくれる。 特に喉が渇いてはおらず、お茶淹れにも断ったので尚更退屈そうだ。 それからまた数分そうしていると、視界の端で大井は突然ぶつぶつと何事か呟き始める。 「北上さん、大丈夫かなぁ……。私がいないと心配だなぁ……。 うん……、心配……きっと、そう、きっと何か起きてる! 私、行かなきゃ! …………」 …………。 何なんだ。 その、ちらっと此方を伺うような横目は。 返事でも求めているのか。 何を返せば満足なのか。 あと少しかかるから、それまでは好きにしろとしか言えない。 集中しているのだから。 すると、まるで代わりに答えるように鳩時計の針やら歯車やらの機械音の後に鳩が鳴く。 「……あらやだ、ヒトナナマルマルです。もうすぐ夕食の時間ですね。私、ちょっと夕食の仕込みしてきますね」 む? 間宮の手伝いでもするのか。 出来ると言うのであれば行ってこい。 しっかり頼むぞ。迷惑はかけるなよ。 「言われるまでもありませんよ」 大井が出て行ってから、暫くして本日付の執務は粗方片付いた。 後は余裕があれば片付けた方がいいものもあるが、集中力を切らした自分は食堂へ足を運んでいた。 騒がしい食堂の厨房には割烹着に身を包んだ間宮と大井の姿が。 大井が持っているその蓋付きの鍋の中身は何だ? 「勿論、愛情たっぷりの、大井特製カレーです!」 ほう、カレーか。 今日は土曜日ではないが、良かろう。 実際土曜日にカレーを作るなんてのは、多くの兵が艦上で何日も過ごす事のある海軍の名残りでしかないから構わない。 ではその愛情を香辛料にしたであろうカレーを貰おうじゃないか。 そういえば北上の姿が見えないが、修復はまだ終わらんのか? 「あ、いえ。それが、北上さんにもあげようとしたら、もう夕食は済ませたって……」 それはそれは、残念だったな。 まあ安心してくれ。 大井の有り余ってしまった愛情は私が全部頂く。 私と北上にしか食べさせる気がなかったのか、そのくらいの鍋ならおかわりすれば完食できるさ。 早速よそってくれ。 「はい。では、そこの席で待っていてください」 そう言って大井の目線の先の席とやらを見る。 そこは二人用の小さな席がぽつぽつある食堂の入り口付近で、 多くの艦娘が陣取る海を一望できる窓際辺りと比べると閑散としている。 あそこじゃないと駄目か? 間宮の作業場が見えるカウンターか海が見える窓際近くがいいんだが……。 「だ、駄目です。あまり騒がしいところは好きませんので」 むう。まあ良かろう。 そこまで執着はしない。 素直にその席につき、大井はテーブルに鍋を置きまた引っ込む。 今度は割烹着を脱ぎ、白飯を盛った皿を持って現れた。 同じように大井も対面した席につき、鍋の蓋を開ける。 すると、厨房で歴戦を繰り広げた証である湯気と香りが立ち込める。 今日もカレーは美味そうだ。 「"は"とはどういう意味ですか。頭にぶちまけますよ」 一々細かいところに突っ込むな。 大井の愛情を頭から被るのは悪くはないが、これは愛が情熱すぎて火傷を負ってしまうからまた別の機会に頼むぞ。 では頂くとしよう。 「はい。召し上がれ」 薔薇を思わせるにっこりとした笑顔で許可を頂いたので、白飯とカレーを掬ったスプーンを口に運ぶ。 米特有の甘みを持つふっくらしつつも立った白飯と、辛過ぎない程度に食欲を促進させてくれる香辛料の入ったカレーは、 自分好みに調理されている味で毎度ながら感服される。 一口目を咀嚼して飲み込んだ後、大井は最早聞き飽きたであろう短い賞賛の科白を今日もつく。 よく出来ている。美味い。 「美味しい? そうでしょう?」 嗚呼、具も柔らかく煮込まれている。 完璧だよ全く、カレーはな。 「一言多いです。文句言わず食べて下さい」 言われなくとも二口目を運び、大井を観察する。 テーブルに両肘をついて頬に手を当てる大井は、 美味しいと言ってやれば嬉しそうに目を細め、今のような戯言を言ってやるとむっとして口角を下げる。 内に秘めるように普段微笑を浮かべていながらも、実際はこうしてころころ表情を変えるから面白いものだ。 二口目も飲み込み、すうっと流れる後味の中、自分の味覚は何時もと違う何かを感じ取った。 大井、隠し味か何か入れたか? 「あ、分かりますか? 隠し味を入れてみたんですよ」 ほう。自分はそういった試みに挑んだ事が無いから分らないんだが、何を使った? チョコレートか? 牛乳か? 「愛情を入れました」 自分は、がくっと少し首を横にずっこけさせた。 それはさっき聞いた。 そうじゃなくて、何か別の食材でも入れたんじゃないのか。 「はい。いつもお疲れの提督の為に、元気になるものを入れました」 「ふうん……」 漢方薬か何かだろうか。 心遣いは身に染みるが、カレーの隠し味には はっきり言ってしまうと合っていない。 しかしカレーの味を壊す程不味くもないので、自分は気にせずまたスプーンを口に運ぶ。 話は変わるが大井よ。 お前は食べないのか。 「え……。私はいいんですよ、提督のために作ったんですから」 なら一口やろう。 ほら、あーんだ。 「い、いやっ、私は……」 どうした。 何故差し出したスプーンから逃げるように身を引くんだ。 料理の基本である味見も毒見も行ったのだろう? 不味くないから大丈夫だ。 大井が食べないで私だけ呑気に食べてはいられない。 ほら、口を開けてくれ。 「で、でも……」 ははあ。 もしや間接キスでも気にしているのか? それ以上の事をやってきてこんなので恥ずかしがるとは、大井は乙女だなあ。 「恥ずかしがってなんかいませんよ!」 だったら一緒に食べような。 ほら。 「……ぁ、あーん……」 大井は自分で作った癖に、 まるで苦手な物でも食べる子供のように目を瞑ってスプーンのカレーを口で受け取り、不安そうに口を動かす。 何を怖がっているんだ。美味しいだろ? 「お、美味しい、です……」 そうだろう。 私の為に愛情込めて頑張って作ってくれたんだから、不味い訳が無いんだ。 この分だと鍋の方も冷めるまでに食べ尽くせるな。 このカレーは二人で食べてしまおうな。 ではもう一度。あーん。 「そんな……」 何か言ったか? 此方から口に入れておいて悪いが、よく聞こえなかった。 「んくっ。い、いえ、何でもないの」 そうか。ならさっさと食べてしまおうな。 遠征部隊もそろそろ帰ってくる頃だ。 そう言って自分は腕時計を気にしながらカレーの咀嚼に勤しんでいた。 その隙に、大井が恨めしげに何事か呟いていたのを自分は全く気付けなかったらしい。 「ううっ、どうなっても知りませんから……!」 さて、それからというもの自分と大井で手分けして時間もかからずに一つの皿を二回空けた。 のだが、自分の身に異変が生じていた。 別段激辛のカレーを食べた訳でもないのに……。 「はぁ、体が熱くなってきた? そうでしょう、ね……。はぁ……、はぁ……」 そうなのだ。 体の中を熱が疼く。 運動していないのに息が荒い。 屋内なのに汗も滲み出ている。 そして何より、同じような症状が出ている大井が、何故かとても扇情的に映える。 一応断っておくが、自分は時と場所を考えずにこんな情を抱く獣のつもりはない。 大井も途中から自棄になってカレーを食べていたが、お前は本当に何を入れたんだ……? 「言ったでしょう……。ん、提督が"元気"になるものって……」 まさかとは思うが、もしかして。 自分がやがてある一つの答えに行き着き、口にする前に大井がゆっくりと立ち上がる。 テーブルに両手を突いてやっと立ち上がった大井はふらふらになりながら私の肩に縋り付き、 私の耳元で妖艶に何事か囁きかける。 「早く、はぁ……、早く、はぁ、行きますよ、執務室……」 大井が食堂の入り口から近い席に座るよう指示したのは、この為だったのだろうか。 自分も、そろそろ我慢が限界を迎える。 …………………… ………… …… 共に危ない足取りで執務室に引き篭もり、施錠した。 カレー鍋も、食器一式も放置してきてしまった。間宮よ許してくれ。文句なら大井に頼む。 残った理性の欠片はそんな事を遺言とし、弾けた。 執務室の扉に大井を押し付け、次々と口付けを落とす。 「っ、はぁ……。好きですね、提督も……」 「"も"ってのはどういう意味なのかな」 「一々拾わないでくれませんか……」 知った事か。 お前にだけは言われたくないね。 同じ物で塞がれれば物言えなくなると思うが。 「黙ってて下さい。ちゅう、ちゅ……」 首を伸ばすようにして私の口に大井は吸い付く。 大井の柔らかい両手が私の顔を包む。 まんまと嵌り、共に戯言をきけなくなり、部屋には夜戦の始まりを告げる音だけが響く。 「っぱ、はぁ、はぁ……」 やがて口を離した頃、大井は体を完全に扉に預けてしまっている事に気付いた。 自分も両手を扉に預けてやっと足を床に支えている状態だ。 「はあ、ほら、向こう行くぞ……」 「……っ」 大井は顎を引いた。 私の肩にしがみ付く手を取り、更に奥の私室へ連れ込む。 寝具に飛び込み、事を再開した。 装甲の乱れた大井の扇情的な姿に堪らず、色んな場所に口付けを落とす。 まず、足。 「はぁっ……。提督、んっ、そんなところにして、楽しいですか……、んっ……」 聞かず唇を押し付け、吸い付く。 十数秒もそうしていると、いい具合に白い足に跡が付いた。 周辺に幾つも付けていく。 気が済んだら、次に、腹。 「ぅ、ん……、んっ、臍に、興味があるんですか……?」 次に、手の甲。 「っ、ふふ……。はぁ、気取らないで下さいよ……」 次に、首筋。 「っあ……、はぅ、うぅ……」 最後に。 「っ、やっとですか、んむ、……ちゅ、ちゅ、ぇる……はぁ、ちゅる」 自然と共に口を開き、小さな舌を絡める。 情はどんどん深まり、口だけでなく互いの首が互いの腕で繋がれ、足も縺れ合う。 身を引き寄せ合い、互いの熱を共有する。 大井のボイラーは自分に負けずひどく熱い。 あのカレーは殆ど半分ずつ食べたようなものだからな。 特に熱暴走がひどいのは下腹部だ。 自分の考えている事を読むように、大井の手が私の局部を布越しで擦る。 「ちゅく、っあ、はぁ、はぁ、提督の魚雷、もう硬くなってるじゃないですか……」 誰の所為だ誰の。 責任取れよ。 「ふぅ……、んん、こんなつもりじゃ、なかったんだけどね……」 「責任取って、処理してあげます……。私だけが、ね……」 …………………… ………… …… 「どうしたの大井っち、前の服なんか着て」 「え、北上さん!? えと、気分よ、気分……」 午前。 やっと昨夜ぶりに邂逅を果たした北上が、大井に話しかける。 臍部分が隠れる以前の装甲に身を包んだ大井は、後ろ指でも指されたように僅かに飛び上がった。 「なんでずっと魚雷つけてるの?」 「え、こ、これは……。そう! 昨日北上さんに衝突した艦に制裁を与える為よ!!」 大井は仇討ちに燃える修羅を演じているつもりか、腕を突き出す。 しかし説得力がない。何故なら。 「じゃあなんで補給してないの?」 「えっと……、暴発したら危ないじゃないですか!!」 魚雷が一門も装填されていない発射管を見せられて、誰もが疑問を持つ筈である。 見事に打ち破られた大井は最早言っている事が支離滅裂であった。 その横で自分は知らぬ顔を貼り付けつつ、自分は北上と同じように大井に疑問を突っ込む事もしなかった。 真実は自分と大井しか知らない。 朝になって我に返った自分らは、体のあちこちにできた夜戦の痕跡である赤い印をどうにかして隠す事に奔走した。 自分は元々袖も丈も長い服装なので今まで通りの格好で良いのだが、 それなりに露出がある大井はそうも行かない。 大井の首筋は長髪に隠れるから良いとして、足、腹、手の甲に私がつけた印をどうするか。 議論の結果、腹まで隠れる装甲に変更し、足と腕に艦装を施していれば隠れる事が分かり、今に至る。 これに阿武隈への仇討ちの意志は全く含まれていなかったが、北上の言葉で大井は思い出してしまっただろう。 本当に仇討ちを遂行しかねない。 阿武隈よ南無三。 これに懲りて金輪際廊下を走らない事だな。 唯、刑執行人が大井の場合だと金輪際走る事が出来ない体にさせられそうである。 そのブレーキ役となるべく、今日は一日一緒にいるとしよう。 「はい、提督にオムライスです。……え? いやだ、愛情以外何も入ってませんよ。うふふ……」 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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前回の話 630 :鎮守府慰安労働:2015/01/03(土) 22 42 01 ID /45yD3go 青年が鎮守府に入り、慰安労働を行いながら早くも二週間の時が過ぎていた。 始めは鎮守府唯一の男性として訝しく思われたが、馴染んだものである。 提督のおかげでしょっ引かれることなく、彼は今、東(あずま)の仮名で呼ばれていた。 しかし慰安労働と言っても、特別なことは何もしていない。 「すいません東さん、お手を借りてもよろしいですか?」 「はいは~い、今行きますよっと」 艦娘たちの母的存在である軽空母、鳳翔に頼まれて家事をやることも日常茶飯事だった。 掃除や洗濯といった基本的な家事から、居酒屋鳳翔の皿洗いや食卓の準備にも奔走する。 本格的な料理はできないものの、鳳翔一人でやるよりも確実に店の回転は速くなっていた。 人当たりの良さもあって、料理以外のほとんどの仕事をこなしている。 当然、利用する艦娘たちと顔を会わせる機会にも恵まれ、一躍顔の広い存在となった。 「むむ、やりますね東さん! でも負けませんよ!」 「何の! 遊びに限っては負けるわけにはいかないな! これでどうだ!?」 「ぐわー、やられたー!」 もとより遊び好きな性格が功を奏し、夜更けまで夕張と遊び倒すことも少なくなかった。 卓上ゲームに身体を使ったゲーム、時にはテレビゲームでも互いに高め合った。 没頭しすぎた結果、二人して寝坊したことも仲の良さに一入なことは疑う余地もない。 時には大人数でも遊びまわり、居酒屋鳳翔とは別の層の友人関係も出来上がっていた。 「つまり複縦陣とは、二方向からの同時攻撃によって攻撃でも防御でも利点があるのです」 「ふむふむ、なるほどね。じゃあ輪形陣は?」 「主力たる空母を守り、戦力として維持することが最大の利点と言えるでしょう」 また興味があるという理由で、不知火や神通を始めとする座学に参加することもあった。 東自身が戦場に出ることもなければ、艦隊の指揮を執ることがあるはずもない。 しかしその姿勢は高く評価され、こちらも多くの艦娘との信頼関係を築く結果となった。 時には夕張方面で知り合った、天龍のような攻めっ気の強い艦娘に座学の重要性を説く。 それらの関係が築けたことも、ひとえに鎮守府を率いる提督の機転があればこそだった。 「いやはや、女だてらに見上げた人だって、ここの提督さんは」 東は割り振られた部屋に戻り、ベッドに身を投げながら呟いた。 631 :鎮守府慰安労働:2015/01/03(土) 22 42 36 ID /45yD3go 東が鎮守府に入ったあの日、普通ならば軍法会議に掛けられてもおかしくはなかった。 だが大和の口添えもあり、提督は第一艦隊を指揮して鎮守府近海で演習を執り行った。 その際に砲撃が“誤って”民家を吹き飛ばし、一名が消息不明という状態を作ったのだ。 これにより書籍上、東は一時的に行方不明となり罰せられることはない。 こうして上層部の目を欺きながらも、艦娘たちには鎮守府に来た手伝いとして通している。 無論演習で吹っ飛ばした民家は掘立小屋のような家で誰もいない、提督の偽装である。 ほぼ完璧な偽装により、東の存在は誰にも怪しまれないまま、すっかり溶け込んでいた。 しかしふと東の口から、唯一にして最大の不安がこぼれだす。 「みんなガード緩すぎ……」 「東さ~ん? お風呂が空きましたよ~」 「は~い、今行きま~す」 呼びに来てくれた夕張の声にドア越しに応え、タオルと寝巻を手に風呂へと足を向ける。 提督から、全艦娘の入渠が終わった後ならば露天風呂を使用する許可が下りていたためだ。 もし空いていればという様相だったが、既に入渠スケジュールには東が組み込まれている。 心遣いも踏まえて今の生活には満足していたのだが、表情は脱衣場で一転した。 使い方が悪いわけでもなく、脱衣場がやたらと汚されているわけではない。 誰もが後に使う者のことを考えて使ってはいるのだが、それと別の意味で意識が低いのだ。 ロッカーを見れば着替えを忘れていたり、洗濯物の一番上に下着を見せつけるようにおいていたり。 無理もないことだが、男性に対する意識が異常なまでに低いことが東の最大の悩みだった。 東とて一男性、強すぎる刺激を受け流しながら湯につかる。 「慰安労働だけで助けてもらえるのはありがたいんだが、脱衣場の環境がきつすぎるな」 二週間も鎮守府での生活を続けていれば、脱衣場の環境を目にしてきた期間も長い。 一般的な下着だけではなく、艦娘たちの生活スペースである以上それにとどまらない。 潜水艦娘たちのスクール水着、島風のZ旗を模した下着、明石や大淀の変則スカート。 一般的な下着であっても、夜戦を意識した川内の黒いパンツや改二を迎えた榛名の縞パン。 特徴的な服を身に付けた艦娘が揃う鎮守府は、ファッションショーばりの品ぞろえだった。 「――――!! ……最悪……でも催さない方が無理だよな、みんなすっげー美人だし」 632 :鎮守府慰安労働:2015/01/03(土) 22 43 06 ID /45yD3go 思わず催してきた東の主砲は、気付けば湯船の中で徐々に仰角を上げてきていた。 衣類で興奮するタイプではないと言い聞かせながらも、周囲の艦娘は美女揃いと来ている。 そんな彼女らが身に付けていた服が、無防備に転がっていれば気にならないはずがない。 誰もいないうちに鎮めてしまおうか――。 「いや~、遅くなってしまった。ついてないのう、遠征で敵とかち合うとは」 「うわぁお! な、なな、おい! ちょっと待てっ!」 そんな思考を勢いよく吹き飛ばすように、元気よく飛び込んできたのは浦風だった。 まとめている青髪を下ろした姿は、普段の快活さを抑えた大人びた雰囲気を醸し出す。 大和とは一味違った体躯の持ち主ながら、メリハリのある身体つきは素晴らしいの一言。 制止を呼びかけた東も思わず見惚れかけるほどで、駆逐艦とは思えない身体である。 一方で浦風は涼しい顔で、慌てている東が不自然と言わんばかりに小首を傾げる。 鎖骨から下はバスタオルを巻いているものの、その程度で抑えられるほどの身体ではない。 軽巡洋艦、下手をすれば重巡洋艦に迫るほどの胸部装甲は触れずして東をけん制し続けた。 「おっと。確かお手伝いさんの東じゃったか? そうか、あんたの入浴時間じゃったか」 「そうだよ! 今日分の入渠スケジュールは消化したんじゃなかったのか!?」 「遠征先で敵水雷戦隊と鉢合わせて、一戦交えたんじゃ。結果的に中破してしまってのう」 「中破? 浦風の練度で珍しい……じゃなくて! 俺が入ってるんだから少し待てよ!」 「そんな気にせんでええ。うちが勝手に入るだけじゃけえ、東ものんびりせえや」 東の意思は半分も伝わらないまま、浦風は椅子に腰掛けてシャワーを浴び始めてしまった。 湯を浴び、下ろされた髪の毛は肌に張り付き、きめ細やかさを見せつけるように光る。 潤った肌は水玉をまとって輝き、透明感のある素肌には目を吸い寄せられずにいられない。 肌のきめ細やかさ、髪の美しさ、スタイルの良さ、東は思わず何も言えずに見惚れていた。 しかし我に返ってみれば困ったもので、東の息子は浦風の登場で仰角をさらに増していた。 主砲どころか連装高角砲ばりの仰角を誇っており、固くなり、屹立してしまっている。 もし浦風にちらっとでも見られてしまえば、どう頑張っても言い逃れはできない。 今一度、東は深く湯船に浸かり、どうにかして抜け出す策を練る以外に何もできなかった。 だからといって、浦風に見惚れてしまった東の頭が正常に働くはずもない。 考えを巡らせようと目を閉じてみても、バスタオル姿の青髪の美少女の姿だけ。 633 :鎮守府慰安労働:2015/01/03(土) 22 43 36 ID /45yD3go その時、シャワーが止まる音に続けて石畳を歩いてくる足音が響く。 一通り身体を洗い終わった浦風は、東を気に掛けることもなく湯船に浸かった。 あろうことか、息子の屹立がばれないかとびくびくしている東の真横だ。 「おい浦風、近いぞ」 「少しばかり聞きたいことがあるんじゃ、ええか?」 「い、いい、けど……?」 「無理やり女に犯されても男は感じる、というのは本当じゃろか?」 一瞬、二人はおろか露天風呂全体の空気が凍り付いたのを同時に感じた。 突拍子もないタイミングで聞くにしては、あまりにインパクトのありすぎる質問。 挙句、艦娘といえど年頃の娘が年頃の男性に投げ掛ける質問とはいいがたいものだった。 詰まりそうな呼吸を懸命に再開し、東は隣で視線を湯に落としている浦風に口を開く。 「本当か、ということは誰かから聞いた話か?」 「青葉から聞いた話じゃ」 「あのパパラッチ、今度会ったらシメてやる」 今も二人に向けてカメラを構え、にやけている様子が容易に想像できてしまう。 どちらともなく視線を露天風呂中に走らせるが、不審な影や気配は見当たらない。 しかし青葉の話に興味があるのか、浦風の話題はぶれなかった。 「それで東よ、それは本当なのか?」 「いや、だから、それはだな」 「ええい、はっきりせえ! もういい、自分で確かめてやるけえの!」 「自分で!? やめろ浦風! それだけは――!」 決死の制止もむなしく、浦風は見事な体捌きとともに水中で回れ右。 滑るように湯の中に沈み込みながら、東の足の間に身体を滑り込ませた。 そのまま膝の裏に腕を差し込み、浴槽の床を蹴って身体もろとも東を大きく跳ね上げる。 日常的に鍛えられている浦風の腕力と浮力が重なり、東はいとも簡単に打ち上げられた。 あられもない姿を晒し、石畳の上で血の気の引いた表情だけを浮かべている。 もはや悲鳴を上げることもままならないのか、涙目で固まっていた。 一方の浦風は何も言わないままだが、東のソレに目を引かれて動けなくなっている。 表情こそ訝しげで何とも言えない顔をしていたが、じっと睨みつけて観察に走っていた。 695 :鎮守府慰安労働:2015/01/09(金) 02 20 42 ID 4qeWaX0k 「……ぶち硬いのう、それに熱い」 いきり立ったソレを手のひらで包み込みながら、浦風は慎重に力を込めて言葉を漏らす。 女性提督が率いる鎮守府の中では男性を見ることすら珍しく、男性器などもちろん初見だ。 東をちんぐり返しの体勢で固めながら、身体が火照るのを感じずにはいられない。 何を考えるでもなく、吸い寄せられるように浦風の顔が近付いていった。 「風呂じゃというのに凄いにおいじゃ。えっと、青葉が言うとった通りなら……はむっ」 静かに近付いた浦風は、青葉からの情報通りに東のソレをゆっくりとくわこんでいく。 風呂場だというのに強烈なにおいを発するソレを、不思議なことに嫌とは思わなかった。 むしろ硬く反り、充血し、細かく震えるのが口の中に伝わるたびに愛おしさすら覚える。 徐々に慣れていく中で、既に経験があるのかと思えるほど積極的に舌を絡めていく。 一方でどうしていいか分からないのは東の方なのは言うまでもない。 二週間同じ屋根の下で暮らしてきた美少女が、風呂に入ってきたと思ったのも束の間。 話を聞くどころか、逆レイプも同然の勢いで自分のソレを深くくわえ込んでいるのだ。 女性経験すらない東にとっては天変地異にも等しく、今にものぼせてしまいそうだった。 いや、そうでなくとも今の光景を前にして正常な思考などもてようはずもない。 「浦風、頼む、話を聞いてくれ」 「んん、ふぁ? なんら、ひもひよふふぁいふぁ?」 ちんぐり返しで固められながら、くわえたまま返事をされるだけで快楽が身体の芯に響く。 熱い熱い美少女の口で、日常では体験できない粘液に包まれながら舐められる感覚。 気持ちよくないはずもなく、押し退けようにも力を込めることすら妨げられていた。 浦風の頭を押して突き放そうとしても、ただ喘ぎながら叶わない抵抗をする獲物の様だ。 しかしそれも無理はなく、浦風の口技は高い技術で東に襲い掛かっていたのだから。 舌を尖らせながら鈴口を穿いたり、広げながら亀頭全体をざらついた舌で舐め回したり。 カリ首を抉れば意思に関係なく東の腰が跳ね、口をすぼめては我慢汁が吸い出される。 あらゆる手段、あらゆる場所を舐め回されるうちに東の意識はもうろうとし始めていた くぐもった水音と懸命に奉仕しながらの上目遣いなど、理性ごと吸い出されそうなほど。 「んむ、れろ、はむ、んん~む、ん、気持ちいいかの? 東、目が点じゃのう」 「うらか、ぜ、浦風……」 「もううちのことで名前が一杯じゃのう。じゃがうちも東のことは嫌いではないけえの」 「浦風、離し、て」 うわ言のように繰り返される自分の名前に、気を良くした浦風の行為はさらに加速する。 舐めるよりも前に、湯船から身を乗り出して東を持ち上げていた体勢から一転。 ちんぐり返しで固め、上から石畳に押し付けてわずかな抵抗も許さなくなっていた。 696 :鎮守府慰安労働:2015/01/09(金) 02 21 16 ID 4qeWaX0k 舌を使わずに頭を上下させながら、喉全体で締め付けながらソレを吸い上げていく。 マウントポジションに近い状態だからこそ、抵抗をされても気になることはない。 むしろ今の東に抵抗らしい抵抗などできるはずもなく、一方的に浦風の責めが続いた。 瞬間、浦風の口の中で東のソレが唐突に硬さを増して膨張した。 同時に今までにないほど大きく東の腰が跳ね、浦風の喉にソレが突き立てられた。 「んんっ!? ぷあっ、な、何を――!?」 「俺、もう、だめ、ごめん、我慢が、無理……!」 「んぶっ、んんっ! んう、んんうううう~!!」 東の言葉から間髪入れず、浦風の口内に精液が迸った。 凄まじい勢いの射精によって、精液で一杯になって溢れかえるほどだった。 あまりの勢いに驚くことも忘れ、口の中に留めることもできずに流れ込んでいく。 二度、三度と東の腰が跳ねるたびに飛び出す精液に堪えきれずに思わず浦風は口を離した。 「お、おどりゃ、どれだけ出せば気が済むんじゃ!」 「うっ、あっ、ぐっ! ああっ!」 「出すなと言うとる、のに! うひゃあ、顔にまで!」 「も、もう、無理……」 「東? こら東、起きろ! 東ぁ!」 口の中はおろか、顔から身体にまで精液をかけられながら声を上げる浦風。 その前では東がすっかりのぼせあがったおかげで、眠るように気を失ってしまっていた。 パニック状態になった浦風は誰かを呼ぶこともできず、ひとまず二人で脱衣所に向かう。 互いにバスタオルで身を包み、誰にも見つからないように浦風の部屋に向かった。 東が目を覚ましたのは、浦風が今にも寝ようかというタイミングになってからだった。 しかし東のご機嫌はななめで、ベッドに腰掛けた東の前で浦風は正座している。 「浦風。何したか分かってるんだろうな?」 「す、すまん。青葉の情報に流されてしまってのう」 「あいつは今度〆る。ひとまずだ、今日のことは他言無用だ、お前も気の迷いだろう」 「いや、じゃが待ってくれ。うちの東に対する気持ちは本物じゃ」 「そうだな、嫌いじゃないって言ってはくれたからな。とりあえず助かった」 反省が見られたことから、東は話を切り上げながら腰を上げる。 翌日には鎮守府の手伝いも残っていれば、浦風にもこなすべき予定が詰まっていた。 その時、部屋を後にしようとした東の背中に浦風の声が響く。 「東。うち、お前のこと――」 「あぁ、嫌いじゃないんだろう? 反省してるんならそれでいいや」 「いや、嫌いじゃないというか」 「なんだ?」 「あんたのような人間、うちは好きじゃよ。おやすみ」 「ば、馬鹿。さっさと寝ろ!」 思わぬ浦風の言葉に、再び顔を赤くしながら東は自分の部屋に戻った。 その夜、好きという言葉がいつまでも脳裏に残って眠れなかったのは決して東だけではない。 しかし翌日からまた苦労話が募ることに、東はまだ気づけていなかった。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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提督×秋雲3-37の続き 「じゃっじゃ~ん!秋雲さん特製の晩御飯だよ~」 ちゃぶ台の上には炊き込みご飯、豚汁、ハンバーグとサラダが並んでいた。ハンバーグの少し不恰好な形から、手作りだと分かる。 「なんだ、意外に料理はできるんだな」 素直に感心すると秋雲は右手でVサインを作った。 「どうどう?惚れ直した?」 「さぁ、食べてみないと分からないな」 「もぉー味もいいに決まってるしー」 「じゃあ食べるか」 私が手を合わせると秋雲もそれに倣った。いただきます、と二人の声が重なり、箸を掴んだ。ハンバーグを一口サイズに分けて舌に乗せた。風味も味も申し分がない。歯の圧力を肉にのせると肉汁が中から零れ落ち口内を蹂躙した。さらに噛み締め感触を味わう。そうやって幸せな気分に浸っていると秋雲がややぁと話しかけた。 「っつーか提督ー、いくら偵察で様子見だからって翔鶴をサブ島沖に行かせて良かったの?」 「錬度はまだ高くはないが… 随伴に北上たちがいるから大丈夫だろう。状況によっては即時撤退の命も出している。多少の損傷も経験の内だ」 うーん、と秋雲は浮かない顔だ。 「うちって正規空母も軽空母も少ないよねー」 「そうだな… あわよくば今回の出撃で新しい空母と出会えるといいんだが… 建造は、中々運に恵まれないから」 「二航戦がいたらいいのに~あ、でも××の方がいいかな~」 秋雲はニカッと笑う。 「××がずっと描きたかったしー!」 私は何も言わず、ただ曖昧に笑い返した。先ほどまで美味に感じていたハンバーグが急に味気ないものへと変わった気がした。 コン、コンコン。 無機質な音に体が跳ねた。音の方向へ振り返る。部屋のドアから音は聞こえていた。 コンコンコン。 先ほどよりもさらに強い音が室内に響く。最初に驚いていた私だが、段々と怒りが込み上げてきた。プライベートルームの場所は艦娘には教えてはいるが、何かある場合は携帯による連絡のみを徹底させていたつもりだった。部屋には直接来るなとも分かり易く丁寧に命令したはずだ。ルールを破ることを厭わない音が私の神経を逆撫でする。 ドン!ドン!ドン! 音が益々乱暴になった。私は箸を置くと立ち上がり急ぎ足でドアへ向かう。居間の襖を閉めることは忘れなかった。一体誰だ、私の空間を邪魔するものは。私と秋雲だけのこの居心地のいい空間を――――――理由によっては私はそいつを、 ドアの鍵を解除した。乱暴な音に紛れてカチッと音がした。ドアノブを引く。チェーンロックはつけたままなので五センチしか開けなかったが、怒りで沸騰していた私の頭はその音の正体を見て一気に顔が青ざめた。 「提督さん… 直接お話があるんです。いいですか」 久々に見た顔は怒りを抑え込んでいるように見えた。ここで話すのは不味い、私はそう感じると外で話そうと提案した。相手は了承するとドアから離れて隙間からは見えなくなった。私は急いでチェーンロックを外してドアノブをさらに引いた。極力開けるスペースを狭くして私一人がギリギリ通れる程度にした。そんなことをしなくても居間の襖を閉めているのだから、秋雲からは見えないのに。 部屋から出てすぐに私はドアを閉めた。ペンダントを首から取りドアに鍵を挿して回した。もちろん南京錠も忘れなかった。 「………随分用心深いのね………」 私の徹底ぶりを見て声が僅かに動揺していた。このような姿を誰にも見せたくなかったが、私の部屋を守るためにはこうするしかなかった。 「……外に行くぞ」 ペンダントを再び首にかけてから私は歩き出した。私の後ろから足音がついてきた。 数分歩いて、棟の外へ出た。辺りはすっかり暗い。出入り口に飾られている明かりの下で私たちは立ち止まった。 「話はなんだ」 そう問いかけずとも私には何の話かは察していた。 「……先輩たちから提督さんの話は聞いてる。みんな提督さんのことを信頼しているし、提督さんも艦娘を大事に扱ってるって…ちゃんと分かる」 どうやら艦娘たちの間では私の評判は悪くはないようだ。 「仕事以外だとちょっとそっけないって言われてるけど…でも優しい人だって分かる。新参者の私にも色々教えてくれた――――――最初の頃は」 声のトーンが低くなった。 「提督さんには提督さんの考えがある。それが何なのか分からないけど……信じてた。信じようとしてた。きっとその内前みたいに戻るって思いたかった。だからずっと我慢していた」 目が悔しさと怒りで震えていた。 「自分のことなら我慢できる…でも、でも翔鶴姉は何も関係ない!私の、瑞鶴のことで責めないで!」 怒気を孕んだ声で相手は――――――瑞鶴は私に言った。 「……翔鶴が話したのか」 「…部屋から港を見てたの…何を話しているかまでは分からなかった。でも翔鶴姉の様子がちょっと変だったから…無理矢理問い詰めただけ。翔鶴姉はどうってことない、自分は大丈夫だって言っていたけど……」 瑞鶴は私を真っ直ぐ見ていた。翔鶴と同じ瞳の色だ。 「提督さんは、瑞鶴が嫌いなの?」 「…嫌いではない。艦娘のお陰で深海棲艦と対抗できるんだ、感謝しているよ。もちろん…瑞鶴にも」 「ならどうして瑞鶴を前線から遠ざけるの?演習も、遠征にも出さない。装備もすべて外して、寮外へ出るなって命令して……瑞鶴がここに来た時はちゃんと指導してくれたじゃない。それが突然…こんなことになって…」 瑞鶴が来てからしばらくして、私は瑞鶴から戦う為の術をすべて取り上げて寮棟に閉じ込めた。閉じ込めた、といっても監禁した訳ではない。寮内なら自由に歩き回る許可は与えていた。外出することだけを禁止したのだ。私は明確な理由を伝えず艦娘たちは困惑を隠せなかったが、みな黙って従っていた。不当な扱いを受けた瑞鶴も私の決定に逆らわなかった。瑞鶴には逆らえない理由があったからだ。 「……瑞鶴が気に入らないなら瑞鶴だけを嫌ってください。翔鶴姉には何もしないでください。いっそのこと、」 瑞鶴は迷いなく、言った。 「解体でも素材にでもしてください。瑞鶴は提督さんの命令に逆らったんだから」 最初に瑞鶴に外出禁止を言い渡した時はもちろん瑞鶴は納得しなかった。だから私は反抗の意思を殺がせる為に、命令に逆らえば解体または近代化改修の素材にするとも言ったのだ。瑞鶴はそれを聞いて渋々ながら私に従った。周りの艦娘も私に余計な刺激を与えないように瑞鶴の話題を極力避けた。翔鶴もだ。 瑞鶴は私から目を逸らさなかった。翔鶴と同じ色の瞳には自暴自棄と諦めと反発心が入り混じっていた。私は目を逸らした。 「……寮に戻れ。今回のことは不問にする」 「提督さん…?」 「下がれ瑞鶴。何度も言わせるな」 数秒、数分の沈黙が流れた。足音が聞こえ、ついに遠くなっていった。私はようやく顔をあげて瑞鶴が去ったであろう方角を見つめる。闇が広がっていて、瑞鶴を覆い隠していた。 「………」 私は棟の中へと入った。エレベーターに乗り、十五階のボタンを押した。私を入れた箱が上へ登っていく。高い電子音が一瞬なり、ドアが開いた。私は無音の廊下を靴音を響かせながら歩き、自分の部屋の前に到着した。首からペンダントを外しドアノブと南京錠の鍵を解除した。カチャリ。カチャリ。ドアノブを引いて部屋の中へと帰る。ドアの鍵を閉め、チェーンロックもした。室内を振り返ると襖の僅かな隙間から光が漏れていた。電気はついたままのようだ。しかしまるでここには私以外の誰もいないかのように静かだった。 「秋雲?」 名前を呼んでも何の返事も返って来なかった。 「秋雲」 急いで靴を脱いで襖へと手を伸ばす。手が襖に触れた瞬間音が鳴るほど勢いよく開けた。 「お帰り、提督」 秋雲はいた。いつもの笑顔で私を迎えてくれた。私は思わず安堵の息をはいた。 「……ただいま、秋雲」 食事は私が部屋を離れる前と同じ状態だった。 「私に構わず食べていても良かったんだぞ」 私は自分の座布団の上に座りながら言った。 「折角提督のために作ったんだよー?一緒に食べたいじゃん。あとご飯冷めちゃったねー あっためなおす?」 秋雲は部屋に置いてある電子レンジを指差した。私は頭を横に振る。 「いや、このままでもいい。少しぐらい冷めてもおいしさは変わらないさ。秋雲は使いたかったら使ってもいいぞ」 「ん~いいや!私もこのまま食べる!……あ、ねぇ提督」 「どうした」 「誰と話していたの?」 私は落ち着いて自分の箸を掴んだ。 「――――――鳳翔だよ」 そっかぁ、と秋雲は呟いた。 そして私たちは食事を再開した。 --------------------- 食事が終わると秋雲が食器を片付けた。流し台で皿を洗っている音を聞きながら私は窓の外を見ていた。星が夜空いっぱいに輝いていた。満月も雲に隠れることなく光を照らしていた。これなら翔鶴や赤城たちの航海にも道を指し示してくれるだろう。 「ねぇ、提督ー」 水と食器の音と一緒に秋雲の声が聞こえた。 「何だ?」 急に水の音が途切れた。蛇口を閉めたのだろう。 「本当はさ、――――――」 ブーブーブー。ブーブーブー。 ちゃぶ台の上に置いていた携帯が震えだした。そしてメロディが流れ出し私は慌てて携帯を手に取った。このメロディは緊急事態が発生した場合に使う回線からの着信メロディとして設定していたからだ。 「一体どうした」 携帯の向こうから「司令」という声がした。霧島だ。 「司令、第一艦隊からの緊急通信が入りました」 霧島の声のトーンがいつもより低い。 「通信…?!何があった」 「襲撃を受けたそうです。敵に気付く前に撃たれて…完全に不意打ちです」 襲撃!いつもなら敵の深海棲艦とは日が沈む前に遭遇して戦っていた。それが夜まで続くこともあったが、夜の襲撃は初めてだった。どうやらサブ島沖海域の敵は今までの海域にいた敵とは違うようだ。 「第一は今どうなってる?!」 夜戦となると正規空母と軽空母は何も出来ない。第一にいる翔鶴と隼鷹は無事だろうか。 「……通信が途切れて繋がりません。現状第一艦隊の安否は確認できません」 (なんてことだ!敵に先手を打たれるとは…!) 焦りが全身を駆け巡る。通信機器がやられてしまったのだろうか。頭の中でこれからのプランを考えようとした時に霧島が再び私を呼んだ。 「司令、通信が途絶える前に不知火が言っていましたが……」 「何だ?さっさと言え」 中々切り出さない霧島に腹を立てた。不知火の伝言に打開策のヒントでも何でもあるかもしれないのに、私は霧島を促す。数秒置いてからようやく霧島は言った。 「――――――翔鶴が沈む、と――――――」 →続き
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前回の続き -第2章- 雷ちゃんのはじめての『初めて』- 翌日、電ちゃんは朝から遠征に出ていた。 僕はお昼頃に帰還する電ちゃんを迎えに、港でまっているのだった。 お昼近くになり、電ちゃんが帰還する時間が近づいてきた。 僕は一緒に食堂まで電ちゃんを送ってあげることにした。 電ちゃんは、僕の少し後ろをトテトテと歩いていた。その足音が、突然とまる。 振り返ると、ちょっと離れた位置に立ち止まった電ちゃんが。何か言いたそうな顔をしていた。 「どうしたの、電ちゃん?」 電ちゃんは、顔を赤くして俯くばかりだった。 やがて、顔を上げた電ちゃんがトテトテと数歩、僕に近づいてくる。 電ちゃんと僕との間は、ひっつかんばかりの距離しかない。 「えと、あのね、あのね……」 電ちゃんは、僕と目を合わせるため、ほとんど真上を見上げるように首を上げ、何か言いにくそうにしていた。 けど、その瞳は完全に『お願いモード』であった。 「何か頼みたいことがあるなら言ってごらん・電ちゃんのためならできる限りやるよ」 僕はそう言いながら、電ちゃんの目線まで腰を落とした。 電ちゃんが恥ずかしそうに僕に耳打ちする。 「えと、えと、おねえちゃんにもしてあげて欲しいのです……」 「え?」 僕は思わず大声を出しそうになった。 同じ小隊の那珂ちゃんや皐月ちゃんが振り向き、 「司令官とお話?それじゃ先に行ってるねー!」と行って食堂に向かって歩いていく。 「す、するって、何を!?」 「あのね、せ、せっくすぅ……」 電ちゃんは顔を真っ赤にしながら僕に話してくる。 「そ、そんなこと、簡単に言われても……」 「えと、えと、おねえちゃんもおにいちゃんのこと、きっと好きだと思うのです。 だから、電だけおにいちゃんにしてもらってるのって、不公平だと思うし、電もおねえちゃんと顔を合わせづらいのです」 電ちゃんはそこまで囁くとピョコンと跳ねて僕から遠のいた。 「そろそろ行かないと皆を待たせちゃうから。それじゃ、お願いするのです、おにいちゃん」 電ちゃんはそう言い残すと、呆然とする僕をよそに、トテトテと小走りで去って行った。 ううむ、どうしたものか。 『してあげて』なんて言われても、どうやって切っ掛けをつくればいいんだろう? まさか、無理矢理押し倒すわけにもいかないし・・・。 などと考えている内に執務室に着いた。 執務室のドアノブに手を掛けた時、中からくぐもった声が聞こえてきた。 僕の留守中に誰だろう・・・? 僕は用心して音を立てないように少し扉を開き、中の様子を伺ってみる。 「………っ!」 僕はまたもや声を出しかけた。 そこで、見たものは……。 「……あぁ……お兄ちゃん……私、カラダがすごく……あつくなってきちゃった」 僕の机の前の部分に寄りかかっている雷ちゃんが、 足を女の子座りにして頬を真っ赤に上気させながら、自分の胸元に両手を置いていた。 雷ちゃんの胸には、汗に濡れた体操服がペタリと張り付いている。 雷ちゃんは掃除のときはいつもこの格好なのだ。 雷ちゃん曰く、動きやすいし、汚れても大丈夫だかららしい。 雷ちゃんは自分の胸を、濡れた体操服の上からモニモニと揉みしだき始めた。 「……ぁ、はっ……お兄ちゃん……胸、感じちゃう……」 あろうことか、雷ちゃんは掃除が終わった後、オナニーに耽っていたのだ。 しかも、僕のことを呼びながら……。 「ほら……もぅ……乳首だって、こんなにとがっちゃって……」 汗で透けた体操服の上からでもはっきりと解るほど、雷ちゃんの乳首はしこりきっていた。 服の上からでも摘めそうなほど、勃起させている。 ほどなく、雷ちゃんは体操服の裾をたくし上げ、つるんとした発育途上の胸を露出させた。 雷ちゃんの白い肌はすっかり昂奮して桜色に染まっていた。 薄い乳房の上にちょこんとくっついた、イチゴ色をした二つの小さな蕾が何とも愛くるしい。 「……お兄ちゃん……私、胸、こんなにかたくなっちゃってる……」 直接自分の胸を揉みしだきながら、うっとりと雷ちゃんが呟いた。 「……あっ……は……ぁん……んっ……お兄ちゃん……私、こんなに感じちゃってるのっ……」 薄く張った乳房を掌で包んで揉み込んだり、乳首を弄ったりして、雷ちゃんはどんどん自分を昂ぶらせている。 「……ふぁ、あん……あはぁ……ぁん……あふ…ぅん」 胸をひとしきり愛撫すると、雷ちゃんは徐々に、両手を下腹部へと伸ばしていった。 スパッツの上から指がワレメに触れたとたん、雷ちゃんはビクッと身体を震わせながら、足を立てて左右に広げた。 雷ちゃんのスパッツに包まれたお饅頭が、僕の目の前の位置にきた。 「……にゃ、お兄ちゃん……ん、んん……ふぅん……ぅん」 雷ちゃんは両手の指をスパッツの上から強く股間に押し付け、キュッキュッと激しく擦りつけていた。 スパッツは微妙に湿気を帯び、雷ちゃんの股間にピッチリ貼りついて、秘唇の形を薄く浮き上がらせている。 その浮き上がったワレメの線に沿って、雷ちゃんは自分の指を滑らせていった。 「……ぁふ、だって私……んっ……くぅ……もぅ……たまんないっ!」 雷ちゃんはスパッツを膝上まで一気にずり下げた。 今度はショーツ越しに、ワレメに指を這わせていく。 雷ちゃんのジョーツは、いやらしいオツユで、もうベトベトになっていた。 「……お兄ちゃんが帰る前に……掃除しないと……」 雷ちゃんはオツユで濡れた絨毯を気にしているようだ、こんな時でも雷ちゃんらしいな、と僕は少し思った。 クチュヌチャと水音を立てながら、雷ちゃんは布地越しに自分花弁を捏ね回す。 秘裂からますます淫液が湧き出してきて、 純白にクマさんのプリントが入ったショーツに更に大きなシミを広げていった。 「……ふぅん……っん、くふ……ぅん……あふっ……」 雷ちゃんは毟り取るように、ショーツをも膝上まで降ろしていった。 雷ちゃんの無毛の秘所が曝け出される。ワレメから零れた愛蜜が、ずり降ろされたショーツの方へネットリ糸を引く。 雷ちゃんは、ワレメの萌しにある肉の莢を自分の指で剥き出しにして、生の木の芽を捏ね始めた。 「……あん……くふぅ……ん、んんっ!」 もう少し近くで見たい・・。 そう思った僕は、思わず身体を乗り出してしまった。 ・・・ゴツンッ! 薄めに開いてた扉に、頭をぶつけてしまう。 「ひにゃうっ!?」 雷ちゃんは、咄嗟に姿勢を直し、慌てて体操服の上を降ろし胸を隠した。 しかし、スパッツとショーツがずり下げられたままなので、三角地帯が丸見えだ。 まだ、恥毛のはえてないツルツルのデルタに刻まれたシンプルな亀裂も見えている。 「お、お兄ちゃん、どこから見てたの?」 僕は、返事に窮した。 「……お兄ちゃんとはいえ……恥ずかしすぎるわ……」 雷ちゃんは顔をこれでもかと言うほどに真っ赤にして、目に一杯涙を溜めながら俯いてしまっている。 僕は、呆然と突っ立ったままでいるしかなかった。 ところが、雷ちゃんが僕の身体の一部に気づいたとたん、表情が変わった。 その一点をじっと見つめている。そこは、つまり・・僕の股間だった。 「……お兄ちゃん、私のオナニー見てコーフンしたの?」 「……」 「したのね、お兄ちゃん?」 返答するまでもなく、僕のズボンは、もっこりテントを張っていた。 雷ちゃんのオナニーを覗いていたのがバレてうろたえたため、少し縮まったとはいえ、まだ八分勃ちにはなっている。 「だったら、私が……」 雷ちゃんは突っ立ったままの僕ににじり寄ってきた。 好奇心半分、母性半分と言ったとこだろうか。 立っている僕の正面に膝立ちする格好で、雷ちゃんは僕を見上げてくる。 雷ちゃんは、僕のベルトのバックルに両手を伸ばしてきた。 カチャカチャと慣れない手つきで、バックルを外していく。 僕は咄嗟に扉を閉め、後ろ手に鍵を掛けた。 バックルが外れると、雷ちゃんは躊躇いながらも、チャックを引き下げてきた。 チャックが開ききると、緩んだズボンが重力に引かれてストンと床に落ちる。 僕の下半身は、トランクスだけになった。 トランクスがこんもりと盛り上がり、巨大なピラミッドを形成している。 「お兄ちゃんの、こんなに大きくなっている……。 ね、お兄ちゃん……さわっても、いいわよね?」 「あ、うん。雷ちゃんの好きにしていいよ」 雷ちゃんがどんな風に弄ってくれるのかな……って想像するだけで、もうドキドキものだった。 「さわるわね、お兄ちゃん」 雷ちゃんの細くてしなやかな指が、トランクスの上から僕の隆起に触れた。 雷ちゃんに触られたとたん、八分勃ちだった僕の肉茎は、 トランクスを引き裂きかねないほどの勢いでムックリと勃起する。 「……すごーい、指が触れただけなのに、こんなに大きくなるなんて……何だか不思議……。 ね、お兄ちゃん、これもう、脱がしちゃっていいよね?」 雷ちゃんは、僕のトランクスを一気に引き降ろした。 張りつめて膨張した肉茎が、雷ちゃんの目の前にババンッと跳ねるように飛び出す。 「きゃうんっ」 小さな悲鳴を上げ、天井に向かって威風堂々そそり勃つ僕の怒張を、雷ちゃんは食い入るように見つめている。 充血して赤黒く照り光る亀頭、血管の浮き出た茎の表面、剛毛にけぶる肉袋。 見た目には結構グロテスクだが、女の子はどう感じるのだろうか。 「なんだか……とってもかわいいわ、お兄ちゃん」 「かわいい?」 「だって、お兄ちゃんのだもの。太くて長くて……すごく愛おしいって感じがするの」 雷ちゃんのローズピンクの舌が、いきなりカリ首の敏感な部分に触れてきた。 「あふ、お兄ちゃんの……ん……れろれろ……」 「ちょ、ちょっと、雷ちゃん……」 「男の人って、こうされると気持ちいいんでしょ?」 「うん…そうだけど。どこで覚えたんだい?」 「お兄ちゃんの机の中にあった本に書いてあったの」 僕は、ばれていたのかという衝撃を受けながら、ジト目で見てくる雷ちゃんに目をやる。 僕が返答に困ってると、再び雷ちゃんが僕の肉茎を咥えこんできた。 たちまち、僕の身体に快感が電流のように突き抜け、怒張がビクッと震える。 「やぁん。ちょっと舐めただけなのに、お兄ちゃんのコレ、ビクンビクンするぅ……」 「雷ちゃんがいきなり、僕の一番感じるところを舐めたからだよ」 「え?今舐めたところが、お兄ちゃんのいちばん気持ちいいところなの? それじゃあ、そこをペロペロって舐めればいい?」 「ううん、感じるところはそこだけじゃないからね、雷ちゃん。 やっぱりオチンチンとか袋とか、全体をまんべんなく気持ちよくして欲しいな」 「じゃあ……こんな感じかしら?」 カリ首に触れていた雷ちゃんの舌先が、裏筋に沿ってツツツッと根元の方へ降りていった。 雷ちゃんの唇が僕の肉竿にペトッと貼りついて、フルート奏者のように表面を吸引してくる。 まだ、ぎこちなさの残るフェラチオだったが、それが一層、僕の昂奮に拍車を掛けた。 ・・ちゅむん……んっぷ……きゅむん、ちゅぱ……ちゅく……ぷはっ! ・・くちゅ……くちょ……くちゅ、くちゅ……ちゅっぷ! 肉茎がしゃぶられる音に混じって、違う音が聞こえてきた。 見ると、雷ちゃんが僕のモノを咥えながら、自分で自分を慰めている。 僕の快楽波動が下腹部に集まってきた。限界が近い。このままでは、雷ちゃんの口の中に発射してしまいそうだ。 その時、ふと、目を閉じて肉茎をしゃぶっていた雷ちゃんの瞼が開いた。上目遣いに僕を見つめてくる。 僕と雷ちゃんの視線が絡み合った。僕は、そのまま視線を雷ちゃんの下腹部へ落とす。 フェラチオしながら自慰をしていたことを知られた雷ちゃんは、 少しばつが悪そうな表情をして、一旦僕の肉茎から口を離した。 「お兄ちゃん……セックスしましょう」 電ちゃんから『おねえちゃんもお兄ちゃんのこと好きだから』と聞いていたとはいえ、 あからさまにそう言われて、僕はどぎまぎするばかりだった。 「で、でもね、こういうことは……」 「だって、お兄ちゃん、昨日は電と……」 見られていたのか・・。 雷ちゃんの瞳から、ボロボロッと涙が零れた。 いつもはしっかり屋さんなのに、意外と泣き虫なんだ・・。 僕は雷ちゃんを抱き上げ、ベッドに横たわらせた。 膝まで下げられたスパッツとショーツを脱がしてあげ、優しく覆いかぶさる。 雷ちゃんの髪の毛を撫でて上げ、僕はくちづけた。唇同士が触れ合う程度のごく軽いくちづけだ。 雷ちゃんは、嬉しそうにはにかんだ。 僕は、雷ちゃんの体操服の上を捲り上げた。 膨らみ始めたばかりの胸の薄い脂肪を集めるようにして揉み上げる。 そして、ツンと尖ったイチゴの蕾を口に含んだ。 「あん、あぁぁぁーっ!」 蕾を舌先で転がしたり、軽く噛んだりする度に、雷ちゃんは甘い声を上げた。 僕は片手で一方の胸を責めながら、もう一方の胸を口で責める。 雷ちゃんは、今まで自分で慰めていて我慢の限界に達していたのか、 僕の太股を雷ちゃん自身の両の太股で挟み込んできた。 僕は太股に、ヌチャっとしたものを感じた。それは、雷ちゃんの股間からしとどに溢れる淫蜜だった。 雷ちゃんは、僕の太股に股間を押し付け、前後に動かし始めた。 枕を股に挟んで、オナニーをする女の子も結構いるって聞いたことあるけど、雷ちゃんもそうなんだろうか・・? 僕はそんなことを考えながらも、雷ちゃんの胸への責めを激しくしていった。 責めが激しくなればなるほど、雷ちゃんの股間を揺さぶるスピードが上がっていく。 「あぁぁぁーっ!いいぃぃぃぃぃーっ!」 雷ちゃんは一層高い声を上げるとともに、僕の太股をギュッと締め付けた。 その数瞬後に、ガクッと力が抜ける。どうやら、軽くイッタようだ。 僕は、雷ちゃんの体操服の上を脱がそうとした。 雷ちゃんは、ばんざいの体制を取って、脱がすのに協力してくれる。これで、雷ちゃんは丸裸になった。 雷ちゃんは、まだ呼吸を荒げている。僕は雷ちゃんの幼い身体をじっくり見つめた。 すると、雷ちゃんがこう言った。 「私だけ、裸なんてずるいわ。早くお兄ちゃんも服を脱いで……」 僕は、雷ちゃんに言われた通り、纏っている物を全部脱いだ。これで、二人を覆い隠すものは何も無い。 裸の僕は、裸のままの雷ちゃんの隣に横たわった。 雷ちゃんの呼吸が整ってきた。僕は、雷ちゃんに覆いかぶさるようにし、くちづけた。 今度は、貪るようなくちづけだ。僕は、舌を差込み、雷ちゃんの舌に絡ませようとする。 最初は、どうしていいのか解らなかったようだが、その内、雷ちゃんのほうからも、おずおずと舌を絡ませてきた。 僕は、雷ちゃんの口腔粘膜を蹂躙しながら、足を大きく開かせた。 自分のペニスの先走り液を肉竿全体に馴染ませ、先端を雷ちゃんの秘孔に宛がう。 雷ちゃんの秘蜜をペニスの先端に馴染ませるようにした後、僕はゆっくりと腰を進めた。 「痛いかい?」 「う、ううん。そんなに……」 そう言いながらも、雷ちゃんの額には汗が滲んでいた。 僕は、そのままグイグイ腰を推し進めた。メリメリッと肉が裂けるような感触がする。 ブチブチッと粘膜が破れる音が聞こえたような気がした。 「かっ……は……いったーい!」 僕は腰を進めるに連れ、雷ちゃんがベッドをずり上がっていった。 ずり上がれないように、雷ちゃんの両肩を抑えて腰を一気に最奥まで打ち込む。 「いたいっ!いたいっ!いたいっ!いたいっ!いたいっ!いたいよぉーっ!」 いつもはしっかり屋さんの雷ちゃんが、我を忘れて泣き叫ぶ。 雷ちゃんはそれでもずり上がろうとし、ベッドの柵に頭が当たってしまった。もうこれ以上、逃げられない。 「いたいよぉーっ!ぬいてっ!ぬいてっ!ぬいてっ!ぬいてよぉーっ!お兄ちゃーんっ!」 雷ちゃんは本当にパニック状態だった。僕は、繋がった状態のままじっとしていた。 そのまま、雷ちゃんの髪を撫でながら、おでこやほっぺや鼻先に軽いキスを続けていく。 やがて、痛みがやわらいだのか、雷ちゃんが普段の落ち着きを取り戻してきた。 「ごめんね、雷ちゃん。嫌ならこのまま抜くけど?」 「ううん、私こそ、ごめんなさい。お兄ちゃん、動いていいよ……」 雷ちゃんに促されて、僕はストロークを始めた。でも、動くたびに雷ちゃんは顔を歪める。 しかし、幸いなことに今までの昂ぶりと、雷ちゃんの窮屈な処女壷の締め付けが手伝って、 僕の射精衝動は数回も動かない内に、限界を越えた。 「い、いくよ、雷ちゃん」 「き、きて、きてっ、お兄ちゃんっ!」 僕の灼熱の白濁液が、雷ちゃんの処女壷に迸った。 雷ちゃんの身体を綺麗にしてあげてから、僕達は食堂に向かった。 ふと、外を見てみると、辺りはもう夕暮れ時だった。 その夜は、何事も無かったように、夕食を食べ、三人で暫く話をした後に床に着いた。 電ちゃんの時はある程度快感を与えられたけど、雷ちゃんの時は痛がらせただけだったなぁ。 雷ちゃんに嫌われてなきゃいいんだけど・・。 そんなことを思っている内に、僕は眠りに落ちた。 「……わよっいなず……」 「はい……なの……」 「「と・・・・っ!」なのですっ!」 ・・バフッ!バフッ! 「ゴフッ!」 翌朝、いきなりのダブル・フライング・ボディ・アタックで僕は叩き起こされた。 雷ちゃんと電ちゃんだった。 「お兄ちゃん、もう朝よっ!起きなさーいっ!」 「おねぼうさんはメッ!なのです!」 僕は痛いけど朝から幸せ一杯だ、と思いながら食堂に向かうのだった。 ー2章End・
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462 :6-632:2014/02/11(火) 21 47 50.16 ID BgeVLwt0 「司令官、こんなところまで良く来てくれたね」 帽子も、制服も変わった響は今までと変わらない柔らかな笑顔を俺に向けてくれた 「寒かっただろう?私が作ったボルシチだ。飲んでほしい」 以前俺の艦隊に居た時にもふるまってくれたボルシチ。 響の作るそれは世界中で一番美味しいと思う。 俺は、ロシアで行われるスポーツの祭典に日本海軍代表として招待され ロシアの地に足を踏み入れた さかのぼる事数か月前、俺の秘書艦であった響を大本営がロシアに譲渡してから数か月 毎月手紙のやり取りはしていたが、実際に声を聴くことはなかった 愛おしい、誰よりも愛おしい響の声を この訪露も話によれば響が色々水面下で根回しをして俺になるよう海軍に 話をつけていてくれていたようだ 「おいしいかい?」 響が尋ねてくる 「もちろん。世界一美味しいよ。響」 「スパスィーバ」 たわいない会話。あの日まで毎日毎日繰り返してた行為 今となっては懐かしく、変化のない毎日が大変貴重だったものだと実感させられる。 「司令官、今日は夜の会場警備があるから、これで・・・・」 そう言い響が部屋を出て行った。 響・・・。どんな血の滲む努力をしたんだ? 一介の来賓が泊まれるような部屋じゃない異様に豪華な客室。 そこに供された夕食はホテルのシェフご自慢の料理では無く全部、響の手作り 「・・・・。ごめんな。愛してたのに・・・。こんなダメな指揮官で」 ロシアの“ヴェールヌイ”となった今でも俺の事を“司令官”と呼んでくれるとは 今日のディナーの御礼に寒い中会場警備をする響にホットコーヒーでも持っていこう そう思い俺はホテルマンへ連絡し携行しやすいカップに入れたコーヒーを持って 競技会場へ向かうことにした 薄明りのの中、俺は寒さに耐え響を探した こんな寒い中で会場警備とは・・・。警察や陸軍がやればいいものの、 相当人が足りないらしい。 会場近くの茂みの中から声が聞こえる この声は、響と・・・。ロシアの士官か? この時ばかりは、ロシア語を勉強したことをひどく後悔した そしてこの場に来てしまったこと。 響を守り通せなかった自分を責めた。 俺が見た光景は、寒空の下。ロシア士官が響の乳首を執拗になめまわし、 手は股間を弄りっている。あたりには響の性器から溢れた蜜が出す水音と 響の喘ぎが聞こえてくる 「寒くはないのか?」 ロシア士官は響に尋ねる 「ああ、同志がこうして私を温めてくれてる。私は幸せだ」 本当に喜んでいる表情で、自らも腰を動かしロシア士官の指を性器で堪能しているようだ 「あのヤポンスキーにしてもらうよりもか?」 響は一瞬何かを考えるような間を置いたのち答えた 「あぁ、同士にされていた方が幸せだ」 そう答えると、響はロシア士官のペニスを口に含み、愛撫していく じゅるっ。じゅるっ 響は美味しそうにロシア士官のペニスをしゃぶる。 喉奥の限界までペニスを自ら突っ込み、まさに「喉でペニスを扱いている」状態である 言うなれば、ディープスロートだろうか。 ディープスロートからシックスナインに移行し ロシア士官も響の性器を舐めまわす。 響の甘い声が聞こえてくる。 「早く欲しい・・・。同志のおちんちん。早く入れて」 遂におねだりを始める響 「そうか、そうか。よし、ヴェールヌイ。挿入してやる」 響はうっとりとした目でペニスを待ちわびる。ロシア士官が意地悪そうに言う 「何ならヴェールヌイが呼んだジャップをここに呼び出して、見せつけてやろうか」 「さすがに、それは恥ずかしい」 響は俺をこの場に呼び出すことは拒否さえしたものの、早くペニスが欲しくてたまらないといった表情だ あっ・・。あ 遂にロシア士官のペニスが響に入っていく。 すごく恍惚とした表情でロシア士官が腰を振ると恥ずかしげもなく大きな声であえいでいる 「あぁ・・・幸せだ」 時折喘ぐ響の声に交じるセリフ 「ヴェールヌイ!ヴェールヌイ!」 響のセリフに合わせるように、“今の響の名前”をロシア士官も叫ぶ 「ヴェールヌイ!このままイクぞ!」 ロシア士官の腰がさらに早く動く 「え、そ・・・。それは」 響はちょっと困惑した声を出すものの、リズミカルな腰の動きに合わせ喘ぐ どんどんその声は大きくなり、ロシア士官が響の一番深いところまでペニスを入れると 腰を止めた。 「あっ・・・出てる同志のが・・・・。中に・・・・」 響は息を切らしながらつぶやいた 「幸せかヴェールヌイ」 ロシア士官が尋ねると響は余韻に浸ってか力なくうなずいだ それを見るとロシア士官は満足したようにペニスを響から引き抜いた。 繋がっていた部分。響の性器からはロシア士官の精液が大量にあふれている。 行為を終え早速体が冷えたのか、響は小刻みに震えている。 そんな響と目が合ってしまった 俺は無言でホテルへ帰った。 結局コーヒーを渡すどころか、あんなのを見てしまって・・・。 「くそっ!くそっ!!!!」 俺は何度もホテルのベッドにパンチと蹴りを入れた 数日後、スポーツの祭典は日本選手団の活躍もあり大盛況のうちに幕を下ろした 日本の選手の中には世界で最も栄誉のあるメダルを獲得した者もいて 同じ日本人として誇らしく思った。 帰国の日、響が空港まで見送りに来てくれた 「司令官、お疲れ様。暁や雷・電とか皆に私は大丈夫だと伝えて欲しい」 そういうと、今にも泣きだしそうな顔になる 俺は頭をそっと撫でた 「あぁ、約束するよ必ずお前が元気だと伝えるさ“ヴェールヌイ”」 響の表情が一瞬こわばる 「え?あ・・・。あぁ。司令官、すまない。こんな事まで甘えてしまって」 響は俺の乗った航空機が離陸するまで、見送ってくれた。 だが俺はモヤモヤした気持ちでいっぱいだった。 別れを惜しむような表情を見せた響。 でも、ロシア士官との性行為に幸せを感じる響。 俺の気持ちは・・・。 それから数十年後たったある日、響の代わりに秘書艦に就任した電が血相を変えて執務室に飛び込んできた 「ロシアからお手紙なのです。」 “あの日”以来月に1回の響からの手紙も無くなり、数十年ぶりの手紙に俺も驚いた はやる気持ちを抑え開封すると、中からはロシア語で書かれた手紙が出てきた スポーツの祭典の為に「話すことはできるようになったが」いまいち文字は読めないので 吹雪を呼び代読してもらった 要約するとこうだ 響が沈んだ。最期は“ディカブリスト”と名乗りロシアで新人の艦娘の教官をしていたが 艦載機の訓練中。標的が無く自らの身を挺して後身の指導を行った そしてその艦載機のミサイルが命中。響は沈んだとの事 また“返却したいもの、ディカブリストから俺宛に渡したいもの”があるから ロシアに来てくれとの事だった。 俺はロシアへ渡った 「良く来てくれた」 ロシアに着いた俺はロシア軍の高級士官と謁見し、返却したいものを受け取った 響の服だった。それも俺の指揮下に居た頃の、第六駆逐隊の ロシアの高級士官の案内で響が沈んだ所へ立ち寄った そこで“響から俺に渡したいもの”を渡された。 その際、ロシア高級士官は 「申し訳ないが規律で検閲はさせて頂いた」 と述べた後脱帽したうえで敬礼し 「大変申し訳ない。私たちの監督が甘かったせいで貴君とヒビキを 傷つけてしまう結果になってしまい申し訳ない。」 そう俺に言ってきた 俺はその響からの手紙を読み始めた 大好きな司令官へ この手紙を読んでいるってことは多分私は沈んだんだね。 あの日以来、司令官に手紙を出そうと思ったけど、どうしても書けなかった。 私は、司令官の事を忘れたくてあんなことしてしまったんだ。 司令官がそばに居なくて辛くて、心細くて、寂しくて、心が張り裂けそうだった。 でも、あの行為をすればするほど、司令官への気持ちが抑えられなくなっていったんだ それでそれを振り払おうと、何度も何度も没頭してしまったんだ 言い訳かもしれないね。実際司令官は私の事“キタナイ”って思ったかもね 私だって司令官以外に汚されて、どんな顔で司令官に合えばいいかわからないんだ。 でも、でもね。絶対に、絶対に信じて欲しいことがあるんだ それはね 身体を許しても、幸せな気持ちになりたくて、何度幸せと叫んでも 心の中には司令官がいたんだよ。 心だけは絶対に許さなかった。 今更だけど、もう一度言わせて。あの時みたいに。 司令官。愛してる 響 「響・・・・。響っ」 俺は声にならない嗚咽を出してしまった 高級士官がそっと肩に手をのせてこういった 「ヒビキの最期の言葉は“すまない。司令官”だったそうだ。」 俺はひどく後悔した 響をロシアへ送ったこと あの後以来響にちょっと冷たくなってしまったこと そして、もっと素直に響と向き合っていればと +後書き 480 :6-632:2014/02/11(火) 23 30 25.66 ID BgeVLwt0 ちなみに、先の響の話で最期に「ヴェールヌイ」としなかったのは 現在のダイビングスポットでのヴェールヌイが眠る地点でダイバーが 「ヒビキ」と言っているのを元としました。 (ロシア語のサイトをBing変換すると「響」と明記されているので) つづき
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前編はこちら 『クズ提督の矜持 後編』 1 夜の闇に消え入る白銀は見るだけでも寒々しく、今いる部屋が暖炉で暖められていてもその視界の印象までをも払拭させてはくれなかった。 窓越しに見える雪の軌跡は幾重にも重なって、最早吹雪だと形容できそうなほどに轟々と風が吹いている。 それは不気味に窓を揺らし、しかしその音が唯一の物音だった。 外の様子を見るのをやめ、カーテンを手元に引っ張る。窓の隠された執務室にはただ一人、提督だけが居残っていた。 いつもは仕事終わりまで一緒にいるはずの秘書加賀は、つい先ほど申し訳なさそうに部屋へ戻っていった。 後に残された仕事が机に詰まれた書類へのサインだけである以上、秘書の手を借りる必要がまったく無くなったのだ。 それでも一緒にいたいという彼女を制し、提督は早く寝るよう指示を出した。 今夜が冷えそうな事ぐらいは誰の目にも明らかで、風邪などひかれては明日の仕事に響くのだ。 天気を見るに、明日は鎮守府総出で雪かきに追われるはずだった。 肉体労働に気乗りしない提督はため息をつき、しかし万年筆の滑るスピードをどんどんと速めていく。 きちんと睡眠をとらないと、日ごろの運動不足によりこり固まった体には重たい作業になるはずだ。 起床時刻まであと何時間かを数えながら、彼は作業を続けていった。 もうすぐ全てが片付き終わるという頃合に、扉が二回ノックされた。今の時間には珍しいそれに、だが彼はすぐさま入れと言う。 もはやそのスピードは反射の域に達していて、誰が訪ねてきたのかとか、そういった疑問は声を出した後から沸いてきた。 扉が開かれると、そこにいたのは帰ったはずの加賀だった。小脇には段ボール箱が抱えられ、寒そうに肩をすぼませている。 提督はそれを見、すぐさま駆け寄って部屋に導きいれた。 「どうしたんだ?」 差し出されたダンボールを受け取り、しかしとりあえずそれは机のすぐ脇に置いておく。 加賀の衣服は随分冷たくなっており、指の先は真っ赤だった。背中を押して暖炉の火のすぐ側まで誘導する。 「提督宛の荷物よ。昼に届くはずたったものが悪天候でここまでずれ込んだらしいわ。 廊下に出ていたのがちょうど私しかいなかったので、受け取っておきました」 「ご苦労様。でも別に玄関に置いておいてもらってもよかったのに。わざわざこんな……」 寝具から毛布を一枚引っ張り出し、加賀の背中にかけてやる。彼女は蓑虫のように、それに丸まり包まった。 頭を撫で、提督はダンボールの元に向かっていった。差出人の住所欄には実家の所在が書かれており、 封を開けると一通の手紙と、何やらアルバムのような大型本が入っていた。 「誰から?」 「実家からの、いらないおせっかいだな」 背中からの声に答えながら手紙を開くと、そこには見知った癖字の羅列が紙一杯に散乱していた。 元気にしているか、仕事は順調か。前半の内容は非常にありがたく微笑ましい気持ちにもなれるのだが、 段々と文面には余計で無用な事が散見され始める。 最後まで読み終えたそれを綺麗に畳み、机の上へ放っておく。提督は続けて視線を箱の中の本へと向けた。 底にずっぽりと埋まったそれはかなり重そうであったが、何とか指を引っ掛けて持ち上げてやる。 本とダンボールとの隙間は絶無であったために、無駄に難儀をしてしまったのだった。 救出した本を一旦膝の上において、それからゆっくりと表紙を捲った。 紙質はこれでもかというほどに良く、厚くてつるつるとしている。 ページは送られど送られど、どこにもでかでかと女の晴れ着姿の写真があった。 「随分可愛らしい女の子たちね」 いつの間にやら後ろに立っていた加賀が、怪訝そうな目つきでそう言った。 冷え切った声音の恐ろしさに思わず身震いするが、しかしこれは別段やましいものでもない。 「お見合いの写真だよ」 振り返りそう言った提督は、次の瞬間肩をがっしりとつかまれていた。顔をあげると加賀の必死な形相が、視界一杯に広がる。 そこの段になって、ようやく言葉が足りていないことに彼は気が付いたのだった。 慌てて口を開いたが、それより先に張り詰められた声が部屋に響いた。 「お見合い!? あなた結婚するの!?」 捨て去られる直前の子犬のような表情に、提督は一瞬呆然としてしまった。 彼女の瞳が潤みだすとようやく我に帰る事が出来、不謹慎ながらそのあまりの必死さに噴出してしまうのだった。 態度に文句を重ねようとした加賀を遮り、すぐに補足を入れてやる。 「実家が勝手に送りつけるのさ。俺にそんな願望あるわけ無いだろ」 一瞬の間の後、言葉の処理が追いつくや口からはほうと息が吐かれた。 力が抜けたのかぺたんと地面に腰が落とされ、提督はそんな彼女の頭を丁寧に撫でる。 恨めしそうな視線を受け止めながら、提督は加賀の発露した依存性に内心酷く驚いていた。 自身のしている普段の行動は、決して褒められたものではないという自覚はあったが、 それでもこうしてその影響を見せ付けられると複雑な思いを抱いてしまう。 彼女の持つ独占欲を自分勝手に押さえつけ、その結果の変化であるのだから当然受け入れる覚悟はあった。 もとより、この鎮守府から離れるつもりなど一片もないのだから、何か気を新たにする必要も無い。 「こういう写真は良いように見える角度から撮ってあるんだ」 視線を合わせ、微笑み言う。首を傾げる加賀を他所に、提督は言葉を続けた。 「俺には、加賀の方が可愛く思える」 余りにもな台詞を吐いたものだと、言った後から後悔の念が沸いてくる。 しかし、相手の顔を見れば、そんな羞恥も消え去るのであった。 加賀はそれを聞いた途端、茹蛸のように顔を赤くし視線を背けていた。 「馬鹿」 小声呟かれる言葉にどうしようもない愛おしさを感じる。 それが成就し得ないものだと分かっていても、感情は流れを留めてくれない。 それを意識しないようにするのには慣れていて、それは自衛のために必要なことだった。 引いたボーダーを守るためには、好意から目を背けるしかなかったのだ。 そしてそれを達成する具体的な方法も、いままでの経験から発見できていた。 提督は加賀の背中に腕を回した。抱き寄せ体を密着させると、彼女の匂いがにわかに香る。 嗅ぎなれた、しかし飽きることのないいい匂いであった。 「今晩は、ここに泊まっていくかい?」 加賀がわざわざ寒い思いをしてここに戻ってきた、その理由を知った上での発言だった。 つまり質問ではなく願望の発露なのであって、しかも答えを知った上での卑怯な問いかけなのだ。 果たして、彼女はこくんと頷き上気した顔を上げた。潤んだ瞳が瞼に隠れ、提督はそっと唇を重ねる。 恋愛感情を隠すのにセックスを用いるという背反した行動は、しかし提督には効果があった。 我慢を押し通すほど強い意思が保てないために、こうして発散をする。 屑なことをしていると自己嫌悪に苛まれ、しかしそういった罪悪感さえ快楽なのだった。 お互いに慣れた深いキスは、そうして重ねてきた罪を証明していた。 毛布が肩口からずり落ちて、床にくしゃっとまとまった。提督はそれを広げると、その上に加賀を押し倒す。 寝具に移動するのかと思っていた彼女は、目を白黒させながら覆いかぶさる提督に抗議の声を上げた。 「せ、せめてベッドに……。お願い」 「暖炉の近くの方が暖かい」 「そうじゃなくて……恥ずかしいわよ」 寝巻き浴衣の襟を広げようとする手を、加賀は必死に押さえ込む。 その抵抗は彼にとってはむしろ逆効果で、ますます興奮を促すのであった。 彼は顔を寄せたかと思うと、加賀の耳にキスをした。突然の刺激に悲鳴が上がり、しかし追撃の手は緩めない。 丹念に舐め上げ嬲っていくとますます声は大きくなり、ついに彼女は片方の手を口へとあてがったのだった。 すかさず寝巻きははだけられた。下着は無く彼女の白い滑らかな肌は、暖炉の火と蛍光灯の明かりの元に晒される。 柔らかな乳房はそれ自身の重さで平たく潰れ、その様子は酷く濃艶だった。加賀は顔を背け、慌てて腕で胸を隠す。 ショーツは穿かれていたので、提督はそれにも手をかけた。 全裸にさせてしまおうという魂胆はすかさず彼女にも看破され、思った以上の抵抗がなされた。 しかし片腕での反撃がそう長く持つわけは無く、しばらくのもつれ合いの末ついに決着はついたのだった。 生まれたままの姿にさせ、提督はそれを俯瞰して見たくて上体を起こした。 加賀は体を横にくねらせながら、右手で顔を、左手で胸から陰部までを隠していた。 その扇情的な姿は加虐心を煽り、思わず口元には笑みが浮かんでしまう。 まずは、顔の隠された手を退かすことにした。手首を掴み引っ張って、顔のすぐ横に押さえつける。 彼女を見ると頬は赤く瞳は潤み、しかし目つきは怒りのそれであった。 凄まれるように睨まれて、申し訳ない気持ちが沸きもするが欠片も引く気にはならなかった。 体を隠す腕も退かしてしまおうと、提督は自身のポジションを少し下へとずらした。 手首を掴み持ち上げようとするが、これでもかと力が入っており簡単には動かない。 まるで石になったかのように、突っ張った腕は強固だった。 俄然強い意志を持った瞳を見、彼は作戦を変えることにした。拘束していた方の腕を解き、馬乗りになったまま見下ろす。 優越感が覗き見える加賀の表情は、しかし次の言葉を聞いた瞬間に崩された。 「ここでやめるか?」 それは予想だにしていなかった言葉だった。彼女の口からは息が漏れ、目は驚きに見開かれる。 提督は腰を上げ、愛おしい重量は消え去った。 「な、なんで……」 「俺だって、嫌がることはしたくない。抵抗しているのを無理やりだなんて気が進まないよ」 張り付いた笑顔から、その言葉が真っ赤な嘘であることは容易に分かった。 しかし提督はついに立ち上がると、一歩二歩と後ろに下がってしまう。 彼の体温の残滓はひどく切なく、加賀の心中には多大な不安感をもたらした。 「待って!」 我慢できるわけもなく、叫ぶように彼女は言った。提督は何も言わずにただ眺めているだけだ。 それは指示なく、自分から全てやれという命令だった。 加賀はおずおずと腕をどかした。寝そべった彼女の裸体は、ついに全てが露出されたのである。 羞恥に堪らず目を伏せて、しかしいつまで経っても期待した体温は感じられない。 提督は依然として、その綺麗な肌を立って眺めるだけであった。 沸騰した頭では何が駄目なのか、彼が何を期待しているのかも分からず、ただ不安だけが増大していく。 見下ろされるだけの寂しさは、ついに彼女の限界を超えて涙を競り上がらせる。 「お願い……来て」 涙声による懇願に思わず足が動きそうになったのを、提督は何とか押さえ込んだ。 本当はこの先まで一人でと思っていたが、流石にそこまで察せられるわけはなかったようだ。 彼は加賀に近づき、すぐ横にしゃがみこんだ。 「自慰をするんだ」 潤んだ瞳が、ゆっくりと提督の顔に向いた。頭を撫で口調は優しく、しかし命令は鬼畜なものである。 彼女は首を横に振るが、当然それは受け入れられない。 「なら、終わりにするか?」 加賀の喉が動いたのが、いやに艶美だと感じられた。許してと口から漏れ出した声は、完全に無視をされる。 彼女はぎゅっと目をつぶり、目尻に溜まっていた涙が頬を伝い落ちていった。 葛藤に決着がついたのか、彼女は一回深く呼吸をすると、意を決して陰部に自身の指を持っていく。 陰唇がなぞられると、肩がぴくんと跳ね上がった。 声が上がらないよう必死に口を噤む表情は、それはそれで官能的ではあったのだが、提督はもっと淫らによがる彼女を見たかった。 普段取り乱さない彼女の痴態は、恐ろしく魅力的だろうと思ったのである。 何とか命令という形は取らず自発的にそうなるようにさせたいと、そう考えを廻らすとある一つのアイデアが浮かび出た。 それは特に何か大掛かりなことをするわけではなかった。 ただたまに彼女が我慢できず小さく嬌声を漏らすと、そのたびそれを褒めるかのように口付けをしてやるだけであった。 或いは、胸の膨らみをなぞってやったり、そういった焦らされている状態をほんの少しだけ緩和してやる。 四、五回もそういう刺激を与えてやれば、効果は目に見える形で現れ始める。 知らず知らずのうちに彼女はより大きく声を上げ始め、快楽を貪ることへの抵抗がみるみる減っていったようだった。 「随分大胆になったな」 そう言って羞恥を煽ることも忘れない。言わないでと喘ぎ声交じりに言葉が漏れ出して、その表情たるや艶麗の極みであった。 言動と行動は最早一致せず、悔しさの溢れる顔はしかし、多大な興奮の元蕩けきっていた。 限界は意外なほど早く訪れた。駄目駄目と連呼しつつも指は激しさを増していって、そんな状態で我慢などできるわけもなかった。 加賀は一瞬体を強張らせたかと思うと、次の瞬間にはびくびくと小刻みに体を震わした。 大きな声が部屋に響く。外の暴風の騒音がなければ、廊下にまで鳴り渡ったのかもしれないほどの声量だった。 しかし肩で息をする彼女に、もうそんなことを意識する余裕はなかったのだ。 「提督ぅ……」 弛緩した顔がゆったりと彼の方を向く。あられもない甘えたような声音は、初めて聞いたものであった。 思わず背筋がぞくり鳥肌立つのが、いやに生々しく感じられた。 提督は無遠慮に彼女に覆いかぶさった。ようやく得られた、望んでいた温かみ。 その歓喜を感じつつ、しかしだからこそ満足はできなかった。更なる快楽を、深い悦を求めて彼女の肉壷は愛液を滴らせた。 ・ ・ 一体何回まぐわったのか。最早記憶には無かった。 翌日寝具の中で目覚めた提督は、自分がぽつねんと一人で横になっていることに気が付いた。 ベッドの右手側、やけに開いたスペースにはまだ体温の残滓があり、そしてそこには彼女の匂いが、かすかにまだ残っている気もした。 だが執務室に人影は無く、随分と物寂しい印象を抱く。 実はこの部屋に艦娘を泊めるのは、鎮守府内の規定で禁止させられていた。真面目な彼女のことである。 恐らくはそれが露見しないうちに、一人で部屋に帰っていったということらしかった。 時計を見ると、起床時刻まではまだ大分余裕がある。 しかし二度寝をしようと瞼を閉じても、温もりへの侘しさが睡眠を猛烈に邪魔したのであった。 彼はひたすら彼女の残り香を嗅ぎつつ、何故か溢れだしてくる涙を枕にこすり付けていた。 2 朝食時、提督は今日の任務について艦娘全員に指令をだした。 即ち、遠征を含む全ての出撃の中止及び鎮守府を総動員しての雪かきのことについてである。 記録的な大雪によって、普段見えている事が当然と思われていたアスファルトは全て白に覆われていた。 提督は窓越しにしかそれを確認しなかったが、恐らくは屋根にもずっしりと積もったはずである。 雪なんか滅多に降らないこの地方では、その光景はかなり異様なものであった。 慣れない作業になるから気を付けるようにと、最後忠告する前に既に駆逐艦のほとんどは姦しい歓声を上げていた。 まるで小学校の体育が例外的に雪合戦になったかのような、提督にはそんな光景に思えたのだ。 彼女達は普段より大分早く皿を片付けると、駆け足で外に飛び出していった。 駆逐艦他、幼い艦娘は地面を、はしゃぐこともない大人達は屋根を担当した。 提督はと言うと一番危なっかしい場所あたり、具体的には港の岸壁を見守りながら、時折手開きになると付近を除雪していた。 それは一見楽な仕事にも思えるが、実際はかなり神経を使うものであった。 かき集められた雪が排水溝を詰まらせると、もう後は海に捨てるしかないのである。 大はしゃぎな彼女達に注意をしても馬耳東風なのは当然であるから、 艦娘が海に近づくたび落っこちやしないかと心拍を上げ続ける羽目になるのだ。 後半になってくると提督は実質的に、最後集められた雪を海に投入する係りになったのであった。 天気に恵まれ、雪質は柔らかかった。作業は滞りなく進み、明四ツ過ぎには全体の六割ほどの雪を掻きだし終えていた。 そのあたりになってくると、提督は眩暈にも似た気持ち悪さを腹の底に感じるようになっていた。 月月火水木金金、休みなく働いていた彼にとってこの肉体労働はたしかに酷であったのだ。 デスクワークを飽きるほどに続けた後の外仕事というギャップは、何やら頭に負担を強いるらしく、 それでも駆逐艦に危険を冒させるわけにはいかないために頭痛は我慢するしかない。 作業のほとんどが終わった頃合、執務室の暖炉を恋しく思う提督に突如声がかかった。 「提督! こっち向いて!」 おそらくそれは雷のものであった。声のした方向には背中を向けて、彼は目下の海に雪を廃棄している。 声音にはいたずら心が多分に入っていた訳であったが、しかしそういった危機感が完全に消失するほど、 今の提督は何も考える事ができないでいた。 ゆったり振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべた第六駆逐隊が、雪玉を抱きながら横一列に並んでいる。 彼女らの腕が振りあがり雪礫が一直線に向かってくる段になって、ようやく提督は状況と、彼女らのしたい事が理解できたのであった。 投げられた雪は右肩と腹の他、顔面にも見事にヒットした。 覆われた視界にバランスが思った以上に崩れ、彼は思わず背から転倒してしまう。 雪の隙間から、青い空がくるりと回転し、気がつくと背中に衝撃があったのだった。 雪を投げた張本人達から可愛く悲鳴が上がるのを、提督は苦笑しながら聞いていた。 しかしその悲鳴は決してオーバーなものではなかったのだと、数瞬後には身に染みて理解することになる。 背中に衝撃を感じた後、何故か更に浮遊感があった。景色が空どころか、更に反転して海さえ視界に入ってしまう。 自身が真っ逆さまになっているのだと本能的に気が付けはしたが、しかしその理由まで瞬時には分からなかった。 頭上がキンと冷たくなり、そこでようやく自身がアスファルトの淵から海へ転落しようとしていることに彼は気が付いたのだった。 瞬時に全身が鳥肌立ち、痛いほどの冷たさが容赦なく彼を包み込んだ。 息を止め目を瞑り、着水の柔らかさの中遮二無二もがき続ける。最早彼にできる事はそれだけであったのだ。 ・ ・ 救出された直後のことを、提督はよく覚えていなかった。 海に落ちた次の瞬間には自分は熱い風呂に浸かっていて、やたらに震える体を何とか温めているという、そんな場面に繋がるのだ。 きっとずぶ濡れのまま脱衣所まで歩いてきたはずなのだが、そういった記憶は皆無だった。 頭痛は更に酷くなっていた。気持ち悪さも相変わらずだった。そこに止まらぬ震えが加わって、体の具合は最悪である。 しかし思い起こせばここ最近、体の調子がいい日というのを体感した覚えはない。 倦怠感や疲労感との付き合いが始まったのは、もうかなり昔のことだった。 口から零れだす咳はやたらに喉を痛めつけ、虚弱な体質を心の底から恨めしく思う。 震えが少しはましになると、提督は重い腰を何とか上げた。手早く体を拭いた後、脱衣所に戻り用意された服を着る。 そこにはいつもの軍服ではなく寝巻きが置かれてあって、しかも温かな半纏まで鎮座していた。 全て着込むと湯の熱が、体に閉じ込められるようでもある。 ふらつく足で執務室まで戻り何とか扉を開けてみると、そこには予想通りな、しかしそれでも気まずい空気が重く漂っていた。 まず目に飛び込んできたのは、床に正座させられた第六駆逐隊の背中であった。 肩の震えから全員が泣いているのであろうことは容易に想像することができて、とくに暁は最早痙攣の域である。 ごめんなさいと連呼される、その空虚な響きは何とも痛ましく、聞いてられない悲痛さであった。 そして正面、いつになく険しい表情の加賀は鬼の風格を醸し出している。 一睨みされただけで、何も悪いことをしていなくとも即刻謝る気になるほどの、そんな凄みが発せられていた。 「戻ったよ」 提督はなんとかそう声を出す。一斉に振り返る駆逐隊の面々、その表情はメシアを見るそれであった。 彼は近づきひとりひとりの頭を撫でようとして、しかし鋭い底冷えする声音がそれをぴたりと制した。 「待ってください。まだ説教が終わっていません」 一瞬で絶望の表情へと切り替わった彼女らに、思わず笑みも浮かんでしまう。 提督は仲裁の役目を買って出て、加賀を嗜めることにした。 「もういいよ。充分反省しているだろう。これ以上は流石に可哀想だ」 「下手すればあなたを殺していたのかもしれません。反省だとか、そういった甘さで許される話ではないわ」 「許してやってくれ。頼むよ。ほら、一応俺は生きているんだから」 よしよしと四人の頭を撫でてやれば、彼女はばつの悪そうな顔をしてぎゅっと口を噤むのだった。 しばらくの沈黙の後、加賀は失礼しますと小声で言って、執務室をあとにした。 彼女が消え去った途端、体は四人の体温に一斉に纏われた。 口々にごめんなさいという言葉が発せられて、次第にそれは嗚咽の泣き声に変わっていく。 鉛のような頭を何とか持ち上げ、彼はずっとその場に立っていた。 3 風邪をひいたらしかった。 それは予想の範疇の出来事であったのだが、しかし医師の所見によるとそれ自体が問題なのではないらしい。 最初その言葉の意味を提督は理解できていなかったのだが、 時が経つにつれて段々と、その含みの部分が否応なく自覚されるのであった。 一日寝込むと具合は少しは良くなって、熱も微熱といえるぐらいには下がったために、提督は仕事に復帰した。 加賀はまだ寝ているよう進言したのだが、それを聞き入れてやるのは不可能だった。 というのも、たった一日空けただけで、鎮守府全体の仕事のルーティンに歪が生じていたのである。 提督という職が統括という任務を負っている以上、それは仕方のないことであった。 何をするにしても、提督が不在なのではどうしようもなくなってしまうのだ。 万全とは言えない体調で、しかしそれはここ最近の普通であったから辛さを我慢することにも慣れていた。 ふらふらになり倒れてしまうというほど重篤な症状はなかったし、仕事の内容も肉体との戦いと言うよりは精神的な、 自分との戦いであったから何とかこなす事ができたのだ。微熱と倦怠感に纏われ続けながら、提督は毎日粛々と仕事を続けていった。 風邪の発症から一ヶ月が経っても、まったく微塵もそれが治る気配は感じられなかった。 別段それくらいどうでもいいと思っていた提督を他所に、 加賀はかなり心配をしてその感情は乾いた咳の咽る音が聞こえるたびにどんどんと増大していった。 いつか倒れてしまうのではないかという彼女の不安は、彼を側で見続けた者なら誰しも思うことであった。 そしてよりにもよって、その不安は記念すべき西方海域完全攻略の日に的中することになる。 ・ ・ 医務室の天井、蛍光灯の明かりを見ながら、提督は医師から状況の説明を受けていた。 なんでも、そもそも朝から青白い顔が目立っていたと、加賀は言っていたらしかったのだ。 帰投した第一艦隊はその戦果を嬉々として報告しようと執務室の扉を開け、そこで机に突っ伏していた提督を発見した。 鎮守府は全体が騒然となり、艦娘が騒がないようにするのにはだいぶ労をとったという。 医務室に担ぎ込まれたのは二時間前。所見は過労。結核や白血病の疑いは低い。 治す方法はここを辞めることだと、医師は淡々と話していた。 とりあえず動けるようになるまでは、ずっと横になっていた。 これからのことを考えようとしても、頭には靄がかかっていて中々思考は捗らない。 思い浮かんだ考えは、全て頭頂部からだばだばと漏れ出しているかのようでもある。 結局立ち上がることができるようになるまでに、靄が晴れることは無かった。 重い体を引きずり、執務室へ向かう。目の前に立ちはだかったどうしようもない現実は、だが自身で予見していたものでもあったのだ。 今の生活が長く続くわけはなく、後に残されたのは弱った身体と、断ち切らなければならない絆の数々であった。 階段を昇り、上がった息を整えながらよたよた廊下を進んでゆく。 ぼやけた視界には赤い絨毯と白の壁しか映っておらず、 もしかしたらこのまま永遠に執務室にはたどり着けないのではないかと思えるほど、その光景は長大なものであった。 ようやくある程度まで歩き終えると、執務室の前、セーラー服の艦娘が壁に背を付け立っているのが目に入った。 手元には大きな茶封筒が、とても大事そうに抱えられている。 提督はすぐ近くにまで寄ってからその艦娘、雷に声を掛けた。 「俺を待ってたのか?」 雷はその言葉を聞くと、顔をゆったりと彼の方へ向けた。その表情は悲壮に歪み、目には涙が湛えられている。 彼女は手元の茶封筒を差し出した。 「さっきここに届いた書類よ。加賀さんの目に付く前に渡さなきゃと思ったの」 受け取り、意外な重みを腕に感じる。既に封は切られてあって、恐らくは雷が先に目を通したのであろう。 それは彼女がこの書類から嫌な予感を感じたということであって、そしてそれは提督とて同じである。 中の書類に一通り目を通す。予感が的中していることは、雷の表情から確定的だった。 それでも俄かには信じられない、信じたくないという気持ちが先行していたために、 書いてある内容は非常にショッキングなものであったのだ。 「随分と、まぁ……」 提督は、ようやくそう一言声を発する事ができた。書面に書いてあったその人事は、客観視するならば非常に都合が良い。 感情のこと、この鎮守府内の関係を除けばすばらしい案でもある。 重病の為空いてしまった海軍兵学校の校長職に、この鎮守府の提督が補される。つまりはそういうことであった。 それは西方海域攻略の労をねぎらうものであり、そして過労という病気を治すためのものでもある。 逆らうには健康が余りに足りていないということを、彼は自覚していた。 ここに残り、今後もいつも通りに仕事がこなせるという確たるものを見せなければ、この人事は取り下げられないであろう。 提督職の終端が、今ついに訪れたのであった。 「……すまない」 不甲斐なさに唇を噛み、拳を握りしめながら、提督はそう口から漏らした。 雷は彼の肩に手を置くと、そのままゆったり体重を掛ける。 そうして膝が折れ、背の低くなった提督の頭は彼女の胸へと導かれたのであった。 髪が細い指に梳かれ、何も言わずにただいつも通りに抱きしめてくれる。 提督は腹の内から漏れ出そうとする嗚咽を、我慢する事ができなかった。 シンとした廊下にそれは小さく響き、そしていつしか泣き声は二つに増えていたのである。 互いの体温を感じながら感情は声と涙になり、そううしてそれは途切れることなくいつまでも漏れ出していた。 4 人事のことについては、天龍と不知火には心持軽く話す事ができた。 それはこの二人と体を重ねたのは、恋愛的感情の発露からではなかったからだ。 あらゆる欲求の不満を解消するために、その捌け口として夜伽という手段を選んだだけであったので、ショックも少なかったのである。 それでも告白したときには、二人は悲しんでくれたのであった。 それを嬉しく思う反面罪悪感も生じる訳だが、それさえ彼女達は慰めてくれた。 いつか訪れるはずの事が今来てしまっただけだと、そう言って納得を得るしかない。 割り切るという痛みは、しかし受け入れ耐え忍ぶしかないものだった。 問題は、加賀であった。依存性、そして恋愛感情のことから、もっとも気を遣わなければならないということは理解していた。 この話をどう切り出すべきか、迷いに迷い頭を捻り、しかし何時まで経っても解答は得られない。 提督は自身のしてきた罪の重さを、再認識する羽目になっていた。 結局機会を待ちに待ち、ようやく切り出したのは鎮守府を去る一週間前であった。 その日の夕方、時間がないために後は正直にただ言うしかないと、そういう諦観を持って彼は加賀を執務室に呼び出したのであった。 窓から差し込む夕日の光を受け、彼女はただ目の前に突っ立ている。 彼女が出頭してからというもの沈黙は長く続き、二人とも何も言葉を発せていない。 痛いほどの静寂が、掌に感じる汗の滑りが、物憂げな表情が、全てが提督には辛く思えた。 「少し、大事な話がある」 深呼吸の後、彼はぽつり何とかそう言う事ができた。加賀は細められた目を逸らし、掌をぎゅっと握りこむ。 彼女とて、およそ話の内容に察しはついていた。だが自身の矜持が、それを容認することを拒むのだ。 もしかしたらという期待を捨てることはできず、勝手な妄想は確固たる意思を持って、彼女の脳内にへばりついている。 「実は、ここを辞することになった」 とうとうそれを口に出すと、不気味な静寂が再び部屋を支配する。 一体どれほどそのままであったのか、提督にはもう分からなかった。もう彼にできる事は待つ事だけであったのだ。 そしてたとえ何と言われようとも、結末はたった一つである。これほど悲しいこともないと、自嘲気味に思い続けていた。 一方、ただじっと同じ体勢で立ち続ける加賀は、様々な思考の果てについに口を開く決心をした。 それが受け入れられる可能性がゼロであったとしても、それでも自身の感情に背くことはできなかった。 そういった覚悟の上、静かにその言葉を言う。 「許しません」 聞くや、提督の目は見開かれた。彼女はそれを眺め、畳み込むように続けた。 「仕事は全部私がします。だからあなたはずっとここにいて。ここを去るなんて、絶対許しません」 何か言うたび、加賀の瞳は激情の色を濃くしていった。心中の思いが轟々と煮えているのが、外見からでも分かってしまう。 それは怒りというには余りに悲痛な代物であった。 「悪いが、これは既に決定してしまったことだ。今更どうしようもない」 提督はあえて非情に言い放つ。言いたくない台詞ではあったが、これは無理にでも納得してもらうしかないのだ。 だがそれは、燻り燃えていた感情に油を注ぐこととなってしまった。 加賀は一瞬、大仰に息を吸ったかと思うと怒りのままにそれを叫んだ。 「ふざけないで!」 突然の怒号は窓ガラスをびりびりと震わせた。 加賀は顔を赤くし、口をわなわなと震わせながら提督を睨んでいる。 提督は心拍が上がったことを悟られないように、まったく動じず座っていた。 「今更あなたと別れるなんて、私無理だわ!お願い、ここにいて。なんでもするからここにいてください」 「お前だって、いつかはこういう日が来ることくらい知っていただろう。俺のしてきた勝手は謝る。だが、命令だ。納得しろ」 「嫌です!」 加賀の瞳から、涙が零れ落ちた。一滴が頬を伝うと、堰を切ったかのようにそれは次々あふれ出す。 彼女は嗚咽を堪えながら、何回も嫌ですと繰り返していた。 「提督は、私のことを忘れてしまいます」 喘ぎ喘ぎ、手で目元を隠しながら彼女はそう口にした。 提督はその意味が、加賀が一体何を恐れているのか、その本心が掴めないでいたのだ。 あるいはそれを知られていたからこそ、より一層彼女を傷つけていたのかもしれない。 「そんなことはない」 「いいえ! 絶対忘れるわ。そしていつかは別の人と結ばれて、私を記憶の隅に追いやって、勝手に幸せに暮らします」 「俺は結婚する気はないし、もう二度と女は抱かない。君達が最後だ」 「嘘よ!」 これが依存性の発露だと気が付いたのは、頭に上った熱が引いてからであった。 喚く彼女を窘めたくて、しかし本心を吐露してもまったく信じてはくれない。それは酷く口惜しく物悲しいことであった。 「……証明して」 泣き声が収まってから、彼女は静かに言った。 「他の人とは結ばれないというなら、証明して。でないと私、許すことなんてできないわ」 沈黙。提督は必死に頭を絞ったが、それに答える事はできなかった。 しばらく経つと加賀は踵を返し、嗚咽を漏らしながら歩き出してしまう。 それを引き止める事はできず、ただその背中を見続けていることしか彼にはできなかった。 ・ ・ 愛の証明について。彼は机の前に座ったまま、ずっそれを考えていた。 彼女が納得を得られないまま逃げるようにここを去るのだけは、矜持が許しはしなかった。 そのために払える犠牲があるなら何だって甘んじて受け入れる覚悟を、彼は確かに持っている。 しかしその具体的方法は、一向に頭に浮かんでくれない。 日が沈み部屋は暗くなり、そういった環境が少しはいい方向に働きかけたのか、提督の頭にはある一つの小説が思い起こされた。 ずっと昔に読んだことのあるその掌編には、今の彼らと同じく破滅の途上にある二人の関係の、その終端が描かれていた。 そしてそこに至る前に行われた、証明をする方法の克明な描写が、提督の頭には思い出されていたのだ。 いや、それはその小説に描かれる前より、ずっと昔から人々がやってきた事なのだ。 一種の残虐性の上に立つその方法は、しかし確かに確実だった。 迷っている時間は無かった。他に方法を発見できる気もしなかった。提督は意を決すと暗闇の部屋の中、物置に向かって歩き出す。 擾々とした物置の隅、目的のものは小さく、しかし存在感を持って鎮座していた。黒光りする鞘に侘しい装飾のついた柄。 一振りの軍刀はここに着任した際に、その記念に受領したものである。 提督はそれを引っ張り出し、しかしそれだけでは余りに準備不足であったから、更に必要なものを捜していく。 誰にも理解されないことなのかもしれなかった。しかしそれでもいいと、彼は本心から思っていた。 それは彼にとってどうしてもやらなくてはならない事であるし、最早自身の満足を得るには、罪を罰する痛みしかなかったのだ。 馴染みの机の上には、物騒な代物が並んでいた。 軍刀、小刀。アルコールランプとマッチ。清潔な布巾がざっと十枚。医務室に忍び込んで、こっそりと盗み出した止血剤。 ぼんやりと熱を持った頭でゆっくりと深呼吸すると、ただ目的を達成するという意思だけが前面に現れたようだった。 提督は布巾の束から一枚を口に咥えると、軍刀の柄をゆっくりと握りこむ。 鞘から刀身を抜き放ち、火の着いたアルコールランプにそれをかざす。熱消毒の終わった刃は、月光を青白く反射していた。 二、三枚の布巾を机の上に置き、提督は人差し指から小指までを更にその上に置いた。 親指は机を挟み込むように下にあって、ぎゅっと力を加えている。 歯を食いしばり意外なほど冷静な思考を持って、刀を大きく振り上げる。 狙いは第一関節と第二間接の間であった。そこを斜め一直線に、四本全てを切り落とす意図である。 四人を抱いたのだから、一本では足りないはずであった。 短く息を吐き、まるで鉈を扱うかのように振り下ろした軍刀は、指の三分の一ほどを切り込むとそこで停止してしまった。 意外なほど痛みはなかった。刃と指との隙間からは真っ赤な血が漏れ出し始めている。 そのグロテスクな光景とは裏腹に、本当に何も感じられなかったのだ。 そしてそれはほんの少しあった後悔の気持ちを、完全に消失させたのであった。 包丁で堅い大根でも断ち切るかのように、彼はぎゅっと軍刀を押し込む。 刃は肉と骨とを断ち割り進み、そしてついに指先は四個のただの肉塊となった。 断面からは、想像以上に血が噴き出していた。提督は残る全ての布巾で、傷を強く押さえ続ける。 何時間かずっとこのままでいれば、いつかはどうにかなるはずだ。 これは個人で解決しなくてはならない問題であるから、医務室に行く気など欠片もなかった。 やり遂げたという充足感。だが血が抜けたためか、心の隅で急に自嘲の念も沸き始める。 自分ができる精一杯が、たかだかこの程度の女々しい芸者の心中立ての真似事だという現実は、歯がゆい思いを伴っていた。 じくじくと今更になって痛み出す指は、ひどく恨めしかったのだ。 どれほど時が過ぎたか、突如扉がゆっくり開いた。反射的に見た時計の時刻は、既に夜中といえるものであった。 訪問者が誰であるのかそこから予想はすぐに着き、そしてそれは今一番出会いたくない人でも会ったのだった。 加賀は薄暗い部屋の中、血生臭い匂いにただならない異常を感じ取っていた。 机の上の物騒な品の数々は、一歩部屋に入れば全て見て取れて、 この部屋に訪れた目的である謝罪だとかそんなことは一切まったく頭から消失した。 「何を……しているの」 呆然と言ったそれに、答える声はない。 早足で机に近づいた彼女は、真っ赤な布巾の数々と、血が抜けて真っ白になった指先をついに見つけたのであった。 愕然とした表情の加賀を見て、提督は何と言葉をかければいいのかまったく分からないでいた。 とりあえず気にしないでくれと言おうとして、しかしそれは加賀の叫びが遮った。 「何をしているの!?」 顔を上げると、彼女の瞳からはぼろぼろと涙が零れ落ちていた。 それを拭おうとして、だが自分の手は血まみれであった事が思い出され、どうしようもなくなってしまう。 そんなことをして欲しかったわけじゃないと、そう呟かれる言葉に提督は、それは違うと思ってしまう。 これは自分がやりたくてやったことであるから、加賀が泣くことはないはずなのだ。 やるせなさが心を締め付け、指の痛みなんかよりも、よっぽどそれが辛かった。 「早く、医務室に行きましょう! 早く!」 加賀ははっと何かに気がついたかのように、そう提督を急かし始めた。だが、それは拒否しなくてはならないことである。 自分が最後までやらなくてはならないことだと、そう何度も説明しても、彼女は首を縦には振らなかった。 いつしか提督の意識は薄れ始めていた。失血か、それとも過労の風邪がぶり返したのか。 最早判別はつかず、それでも彼女を思う気持ちだけは確かであった。 「加賀、愛している」 何とか口にできたこの言葉は、彼女の胸を静かに打った。 5 バッグを抱え外套を着込み、提督はこざっぱりとしてしまった執務室を出た。 馴染みの装飾品は最早無く、それはとても悲しい光景だった。 戸を開けてすぐの所には、雷が立っていた。彼女は提督が現れた瞬間、その体に突撃するように抱きついた。 提督は彼女の頭を撫でた。最後になる髪の感触に愛おしさを覚えながら、体温と匂いを記憶に刻む。 お互いに涙が出ないのは、既に涙腺を枯らしたからだ。 しばらく経って、雷はおずおずと提督から離れた。言葉は無く、真摯な視線だけで充分だった。 踵を返し歩き始めた彼の背中を、いつまでも見つめる。彼女もそれで満足だったのだ。 鎮守府の出入り口には不知火と天龍がいた。 廊下の端からこの二人が話している様子は見てとれて、そして提督にとってそれは初めて目にする光景でもあった。 今更ではあったが、それは暖かい気持ちにさせるものである。手を振ると、二人仲良くそれに応えてくれた。 抱擁を済ませ、キスもする。柔らかな感触は名残惜しく、それでもお互いに一回きりだ。 彼女らも言葉なく、黙って見送ってくれたのであった。 あの夜以来、加賀とは口を聞けていなかった。 彼女は自身の部屋に篭ってしまい、視線を合わせさるような機会さえ無かったのである。 そしてそれは仕方の無いことだと、提督は思っていた。愛おしい彼女の面影を思い浮かべながら、いつかは立ち直って欲しいと願う。 そしてその役目は自分には無く、後継の提督の任務なのだと、彼自身一番に理解していた。 迎えの車に乗り込んで、鎮守府には一瞥もくれずただただそこを去っていった。胸に空いた空虚な穴は、その暗がりを広めるだけだ。 「体の具合が良くなったら、またここに戻ってくるのですかな?」 気さくな運転手がそう声を掛ける。提督は静かに首を横に振った。 「ここの潮風に当たると、無くした指が痛むのです」 車は加速し、いつしか鎮守府は見えなくなる。アスファルトの隙間からは、気の早い蒲公英が顔を覗かせていた。
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霞が私の元に来たのは艦隊指揮を任されて間もない頃だった 彼女の性格は、悪く言えば可愛げがなく他の提督から敬遠されたらしい 当初は罵倒されたりダメ出しされたりと佐官に上り詰めた私のプライドなどお構い無しの彼女に対し悪い印象しかなかった 負けん気と言うのも変だが私も彼女に反論されないよう立ち振舞いや作戦を考えていた。 ほかの艦娘から案を聞いたりもした そんなある日、大本営からお叱りを受けた。私の作戦は戦果よりも生存率を求めた物が多く他の艦隊よりも戦果が低かった そして、止せばいい物を私は怒鳴り追い出してしまったのだ。この作戦は霞達と言い争いながら作り上げたものでそれを否定された事にキレてしまった せっかく築いた佐官の地位、そして艦隊指令の座を投げ捨てるような真似である。冷えた頭に少しの後悔が過った ため息を付きながら司令室に戻ると霞が立っていた 「馬鹿じゃないの?」と開口一番に罵倒される。実際馬鹿をやらかしたのだから反論など出来ない。数日したらこの艦隊は解体されるか私以外の指令官が着任するだろう 沈黙が部屋を支配し私は俯いた。 「しっかりしなさいよ、このグズ!」 そんな罵声が間近に聞こえる。ギュウと強くしがみ付いた細い腕、胸元に押し付けられた顔。 「か、霞?」「指揮するあなたが居なくなったら、皆が困るのよ…」と言いながらゆっくり体が離れる 「また、指令官が居なくなるなんてゴメンよ…」 かつての記憶が蘇ったのか震えている肩。普段の不遜な態度が嘘の様に小さい 中腰になり顔の高さを揃え目を見る。 「すまない、お前たちと練った戦略が否定されてつい」「戦果が少ないならもっと良いのを考えるなりしなさいよ馬鹿本当に馬鹿!」 霞は一息で言い終えるとグイっと顔を近けた。同じ目線のため唇が触れ合う 固まる私に赤らめた頬の霞が「でも、怒鳴り散らかす位霞達の戦略を大切にしてくれたのは嬉しかったわ」と。 「今のはファーストキス?」「普通聞く?…まあ、そうだけど」「私みたいなおっさんに…」「あなただからよ!もう、霞に恥をかかせる気!?」 そう霞が言い放った後、今度は私から唇を重ねた。肩を優しく掴み舌を唇の間にねじ込み歯列をなぞり口を開けさせる。 驚いた様だが霞もゆっくり口を開け舌を出してきた。その舌を絡め離し口内を舐める くちゃっと唾が音を立て、時折漏れた吐息が耳を擽る。霞の小さな舌は最初こそされるがままだったが次第にこちらに絡め返してくる 「れろ…くちゅ、ぐちゅ…んんんっ!」 酸欠になったらしい霞が背中を叩く。名残惜しく離れた唇を混ざった唾が繋ぐ。 「霞」「ハァハァ、なによ」「ありがとう」「はぁ?何お礼なんか言ってるのよ」「お前が居てくれて私は…」 言い終える前に私の唇に霞の人差し指が添えられる「今は、そういう事は聞きたくない…」 プツプツと自らの服のボタンを外す 「最後までして頂戴」「…わかった」 はだけた服や子供っぽさの残る下着をゆっくりと脱がす。成長し始めた小さな膨らみの頂に薄いピンクの乳頭。ぴっちりと閉じた性器。 初老に片足突っ込んだオッサンと幼い少女が性行為など犯罪以外何物でもない、がその背徳感が背筋を走る。何より全てを曝け出した霞に中途半端では申し訳ない 口と左手で両方の胸を弄ると「ひゃあ!」と可愛らしい悲鳴が響く。 「あっ、気持ちっ良いっ!」 嬌声と熱い息遣いが響きだす頃には性器もしっとりと濡れている。 くぷっと右の人差し指が霞のナカへ。霞の体が弓なりに反り「入ってぇ、くるッ!」と息も絶え絶えに反応をする ぐちぐちゃと指が膣内を押し広げる。そして二本、三本と指を飲み込む肉穴はだらだらと愛液を垂れ流しひくついている 「力を抜くんだ」といきり立った一物が霞の肉穴にあてがわれる。 ゆっくりと穴に飲み込まれるぷちっと愛液と共に血が流れる結合部。痛みから私にしがみ付く腕に涙や鼻水で汚れた顔。そして蠢く膣内 生々しく感じる性行為の快感と目の前の霞で頭が一杯となり無意識に振り出した腰が一段と早くなる 年甲斐もなく霞と交わり続け、何回もその膣に精を吐き出した 「ヘーイ、提督ゥ!戦果リザルトが上がったヨー!」 指令室の扉を壊すような勢いで第一艦隊旗艦の金剛が入ってくる あの後、新しく戦略を考え戦果で大本営を黙らせた我が艦隊は気が付けば大隊と呼べる規模となった。 「まだ作戦に改良の余地ありね」 そんな私の傍らには霞が何時も立っている これからも騒がしく忙しい毎日を可愛げのない愛しい駆逐艦と過ごせるように今日も今日とて戦略会議が開かれる
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※※鬼畜展開・欝注意 298 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 21 46 38.31 (p)ID Fc+CvhM0(20) 第一章~仕組まれた非公式模擬演習編~ 数日前、敵総督(地元のワルイ先輩。有名大手企業社長の長男)から総督(金持ちのボンボン、現在オニィ系のチャラオ。大学で経済学部を専攻、留年により現在5年生) がライン上で 敵総督『お前んとこの艦ムスってさ、マジマブくね?一回うちの艦ブス(笑)と非公式模擬演習しようぜ? 場所はシケた公式会場の海上じゃなくてさー 渋谷のクラブ貸し切ってさーDJとか呼ぼうぜ? 後、お前が最近ドロップした電ってさ元うちの嬢なのよ、とりあえずヤリ飽きたら返却しといてや うちの魚雷スタッフが電の体が恋しいってるせーのよwwじゃよろしく頼むわw』 とのコメントが入り、総督が 総督『マジっすか!?ww電って先輩の所の女だったんスか!?マジすんませんw食っちゃいましたw でもあいつガバガバで丁度要らねーわっ思ってた時だったんスよw なんか最近あいつ、『付き合ってほしいのです☆』とか言い出してちょっとウザくなってたんすよね~w でいっつも『ゴムだけは付けて欲しいのです…赤ちゃん出来ちゃうのです…下ろしたくないのです…』とか言うッスよ? テメーは毎日危険日かっつーのwwマジ困ってたんッスよww いや~マジ助かったっスww返却しますんで 今度運営には内緒で非公式模擬演習訓練よろしくッスw 場所はいつもの代々木公園の近くのクラブ〇〇〇ッスね? 今回は自分が電食ったお詫びに会場とDJ用意して置くんでW』 そして翌週、仕組まれた非公式模擬演習が行われたのであった… しかし、当日提督と敵提督は参加せず、代わりに代行の提督が派遣されてきた。 …それはこれから起こる参事を誰かが通報して、警察ガサ入れが来ても、自分らには飛び火しない様に用意した 彼らの替え玉だった。 提督の命令で、いつもの倍の自給を貰い、模擬戦と言う名のクラブイベントに出演…もとい出撃する ぜかまし、那珂ちゃん、赤木ねぇたま、電たんの四人でいつもどうり出撃したが、そこは何時もの戦闘会場ではなく、 人ごみが行きかう渋谷…行き違う歩行者達の生暖かい視線を感じながらも、彼女たちは指定された場所に就いた… 299 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 21 47 26.84 (p)ID Fc+CvhM0(20) しかし…そこは艦コレイベントには似つかわしくない、一軒のクラブだった…。 外には『本日貸切』の看板が…、中に入ると、薄暗い店内にはオシャレなバーに20代前半と思われる男のバイトが数名、提督が呼んだと言う大学の艦コレサークルの男と、 股の緩そうな女子大生、怪しい雰囲気の黒服の男が大勢いて、異様な雰囲気を放っていた… 何か不穏な空気を感じつつも、4人は店内を傷つけないようにと提督から渡されたふわふわのスポンジ製の弾を装填し、模擬戦を開始する… しかし、敵のターンになった時それは起こった…。 敵艦ムスの背後に設置されていた暗幕から、待機していた敵魚雷(魚雷のマスクを被った上半身裸、下は黒タイツのムキムキマッチョ男(全員30代後半、会社員だが趣味で艦コレ活動に参加)以下『魚』)20人が放たれる。 ギャラリーの笑い声と、DJが流すノリの良い音楽に、おびえる4人の艦ムス達の悲鳴はかき消されていった…。 (この時流れた音楽♪江頭2:50のテーマでもある、♪布袋寅泰『スリル』♪) そして、なぜか魚雷アニキたちに集中的に狙われる電たん…!! 恐怖の顔で逃げる電たん(以下『電』)…でも 転んで… 追いつかれて… 電『ふえぇぇぇ!?まさか…!!お兄ちゃんたちはっ…!!え?…なんで!? 何でここにいるのです!? まっまさか……いやぁ…!!こないでぇ!もう…もう嫌なのですっ!! あそこには…あそこだけには…帰りたくない…帰りたくないのです!!離すのですっ!! いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!はなしてぇぇぇぇえぇっ!!!』 ただ事では無いと感じ、電を助けに行く三人。 しかし、今回の出撃は実践では無くあくまでも非公式な模擬演習。ふわふわのスポンジ弾しか装備していなかった、非力な艦ムス達に マッチョな敵魚雷アニキを留められる筈もなく、あっけなく捕まり縛り上げられる ぜかまし、那珂ちゃん、赤木ねぇたま、の3人。 そんな中、魚雷アニキたちに追われ、転んで動けなくなった電たんは、 魚雷アニキたちに数人で羽交い絞めにされ、 後ろの戦艦コスを乱暴に剥ぎ取られると、服や下着を無慈悲に破かれ、電マをクリトリスに押し付けられ、極太ヴァイヴで犯され始める。 電『えっ!?こんな所で!?やらぁ!!みんな見てるのです!!いやなのですっ!!やめるのですっ!!』 と言いながら大洪水の電たん。そして大の大人の腕位の大きさのバイブをぬるりとマ〇ンコに加えこむ… それを見て赤面している3人に、魚雷アニキの一人がDJ用のマイクを手に取り、敵総督や自分たちと電たんとの関係を DJの音楽に合わせ語りだす… 300 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 21 48 21.56 (p)ID Fc+CvhM0(20) その概要は ・実は電たんは赤ちゃんポストに捨てられ、3歳まで児童保護施設で育った事。 ・敵の提督(当時20代未婚ロリコン癖)が施設へ多額の資金を融資する条件で3歳の電たんを実質買い取った事。 ・その後すぐ(3歳1か月の時)から性的な訓練と改造をされ始めたこと。 ・敵提督が『電マ』攻めが大好きにだった為、名前を『電マ(読み方を「でんマ」→「いなずマ」』に変えた事。 ・5歳で部隊全員の魚雷アニキ(当時全員20代前半、提督の大学の後輩)の相手もしていた事。 ・12歳での出産経験や多くの中絶経験が有る事等を暴露する。 そして、その証拠にと幼少期から性器の拡張開発をされてきたイヤラシイ体を他の艦ムスや多くのギャラリーに見せつけるアニキ…!! M次開脚した電たんに3人は悲鳴を上げたが、会場はから湧き上がる歓声と、カメラ小僧のシャッター音で彼女たちの声はかき消されていく…。 …しかし、電たんの体は見世物にふさわしいモノだった… ぜかまし、那珂ちゃん、赤木ねぇたまの3人が見たモノとは… …電たんの子供らしい顔と声に似つかわしくない、巨大なバイブをくわえ込むとろっとろアソコからはみ出る黒ずんだ大きな具、そして巨大な勃起したクリトリス。 …体の割には大きな胸、そして大きな乳輪とあずき色の乳首。 …お腹には立てに真っ直ぐ伸びる帝王切開の後。 …そして赤面し目を両手で隠しすすり泣く電たんの顔。 魚『おい、お前ら見てみろよこのクリWW最初は普通の大きさのクリだったんだが、ガキの時から起きてる時は俺らが常にクリいじってたんだぜW 3歳の時には自分でいじるようになってなぁW 一人でいる時はいつもオナってたよなぁW 寝てる時もクリ吸引機付けさせてたらこのでかさになったんだよW ガチのド変態なんだぜこいつはよ!!』 更に兄貴はいかずちたんのマンコからバイブを抜き取ると静かに両こぶしをマンコに突っ込み… 魚『見えてるかぁ!? コイツ15なのに腕が2本もマ〇コに入るんだぜ? コイツはなぁ、3歳の時からおもちゃ使ってマ〇コ広げてんのよ。たしか4歳で大人用のヴァイヴ入れられてヨガってたかなぁ? 12でガキ作った後は見ての通りガバガバよW』 そこで弱弱しく答える電たん… 電『うぅっ みんな…みないで…みないでなのです…』 301 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 21 49 11.54 (p)ID Fc+CvhM0(20) そんな中、嫌がりながらも 無茶苦茶にされた以前の体験を思い出しさらにぬれる電たん その反応を見逃さず攻めまくる魚雷アニキ…!! そして魚雷アニキたちは 電たんがスパイとして今の艦隊に送られたという無い罪を電たんに自白させる…。 電『もうら、らめぇっみんな…みんなが…お友達が、みてるよぅっ…っんひぃ!!』 魚『おい、お友達だってえ!?お前内通してたんだよなぁ? ああ? これから一緒にお家に帰るんだよなぁ? あああ!? もっと激しくかき回すぞゴルァ!? 白状しねぇと昔みたいに2日間寝かさずに犯し続けるぞ!? あぁぁ!?』 電『そんなこと…なぃ…よぅ!そんなこと…してな…… うわぁぁっいぁ…やらぁっ! そっそこっやっっ!! わかりまひたぁ したのぉ!! ないつうぅしたらのぉぉおぉっ!! いやぁっいやぁあ だからぁやめてぇぇぇぇぇぇ んひぃぃぃぃぃぃぃぃ!』 魚『ゴルァ! てめぇ言葉の最後に『なのです』と言えと言っただろおがぁあぁ!! ズボズボ激しくすんぞゴルァ!! てめぇの娘も同罪だぞ! 今日は二人とも寝かせねぇからなぁ 解ってんのか!? ゴルァ!!』 電『っひぐぅ!! わかっらからぁぁぁあ やめへぇえなのぉでしゅぅぅ!!』 ……本当は性的虐待をする提督の家で12歳で長女を出産、虐待の対象が娘(現在3歳)に移り、無理やり娘と気離された電たんは14歳で都内で一人住まいをする事になる。 生まれて初めて自由になった電たんが、生まれて初めて自分でやりたいと思った事。それが現在バイトでやっている艦コレへの参加だった…。 そこで生まれて初めての友達が出来たのだった…。楽しい艦隊バイトで職場の仲間を裏切るなんて事はこれまで微塵も考えた事が無かった。 今はちょっと自信のない顔をしていて、仕事終わりに”エッチの時だけは優しい提督”とのエッチが楽しみでオナニー中毒ですなおな普通の15歳…。 それが電たんだった…。 しかし、縛られたぜかまし、なかちゃん、あかぎねぇたまの前に居るのはもはや みんなの知っている電たんでは無く淫乱でイヤラシイ一匹の裏切り者のメスだった 302 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 21 51 06.45 (p)ID Fc+CvhM0(20) そんな中、なかちゃんが大げさに 那珂『電ちゃんさいてぇ!電ちゃん不潔よっ!!』 わざとらしく、大げさに騒ぎ出す…。 腰が抜け、縛られたまま壁に寄りかかり涙目で震えながらうつむくぜかましとあかぎねぇ、軽蔑の視線と言葉をおくるなかちゃんの姿を見て、 皆の仲間に戻れない事を悟った電たんは、精神が半壊してしまい、絶望と快感で顔をくちゃくちゃにしながらただただ泣くだけだった…。 そんな電たんを敵魚雷アニキは犯し続けた。時間が立つにつれ、クラブ内には電たんは何時ものカワイイ声ではなく、女としての電のいやらしい声が響く様になっていった… どれだけ時間がたっただろう……腰が抜け、泣きながらうつむく、ぜかまし、なかちゃん、あかぎねぇたまの3人の両脇を奥から出てきた黒服の屈強な男たちが持ち抱え、 外に連れて出し、表に用意されていた黒い車(日産:NV350キャラバン)にかつぎ込みむと、自分たちも乗り込みそのまま本拠地へと三人を送り届けた… その道中、この一人の黒服の男が一部始終の動画を撮ったSDカードを取り出し、起こった出来事を提督に報告するように伝えると、それを那珂ちゃんに渡した。 ぜかまし、なかちゃん、あかぎねぇたまの3人は、提督が本拠地として使っている親から買ってもらった都内某所にある高級マンションの玄関フロアー下ろされ、黒服の男はインターホンで提督を呼び出すと そのまま車に乗りどこかに消えた。 帰りが遅く心配し、待機していた子の日や金剛に肩を借り、やっとたどり着いた部屋で倒れこむ三人…。 恐怖とショックで提督の部屋に備え付けの布団に包まり泣き続けるぜかまし、 ソファーに崩れ落ちる様に座り、目に涙を浮かべ小刻みに震え吐き気を訴える赤木ねぇ、 取り乱す那珂ちゃん 唯一、会話ができる状態だった那珂ちゃんが、事の一部始終を話す。 そしてカワイイ艦ムス達のまえでSDカードに入った動画ファイルを、備え付けのウーハが効いた大型テレビで流す提督。 それを見てショックを受ける艦ムス達… クラブでの出来事を思い出し『うぁぁぁぁあぁっ!』と奇声を上げ、号泣する ぜかまし 。 精神的ショックにトドメを刺され、ソファーのクッションに顔をうずめたまま小動物の様に震える 赤木ねぇ 。 『なに?なにこれぇ…ひどいよぉ…うわぁ… はぁ、はぁ。』と言いながら、どうしていいか解らずオロオロするも、画面に目が釘づけで赤面し、 おまたを濡らすという生理的反応をし、更には床オナニーしちゃう那珂ちゃんより若干足りない子、 ゴウヤ 。 いつものあのわざとらしい作りキャラがすっかり抜け、真顔でポケットからそっとタバコ(マルボロ)を取り出し火をつけ、タバコをふかせながら、 眉間にシワを寄せ、私物のポーチから出した缶コーヒー(BOSSのブラック無糖)を飲みながら 『……若いわー……』と言って、深いため息をつき、遠くを見つめ、過ぎ去った日を思い起こす 子の日様 。 (この時、子の日様のバックに流れるBGM♪平原綾香『明日』♪) 艦隊からの脱退を決意し、動画が流れている間、艦コレ本部へメールをし、派遣(ドロップ)先確保に動き出す金剛四姉妹。 303 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 21 51 49.28 (p)ID Fc+CvhM0(20) 提督と敵提督の仕組んだ事で、電たんを始末する為の作戦だった…しかしオニイ系でチャラオの総督は まるで何も知りませんでしたと言わんばかりに、白々しく動画を見ながら。こう言い放った……。 提督『マジか? オイ、マジか? あいつ、どんくさい奴だったけど体だけは最高だったんだがな!! マジねぇわwwてか裏切り者がいなくなって良かったと言えば良かったんじゃね? 電ってさー最近、『付き合ってほしいのです☆』とか言ってしつこかったんだよね~。 俺には那珂っていうマブイ彼女がいるっつーのww電、てめぇは遊びだったんだよwヴァーカ!! マジすっきりしたわ~、なぁ皆もそう思うだろ?思うよなぁ!?』 那珂『なっ何言ってるの!?提督!ちょっとは反省して!?電ちゃんを助けてあげてぇっ!!うっ…うぇぇぇえぇぇん…』 提督『わりぃって、先輩には電を可愛がるように言っとくから、な?那珂泣かないでくれよ…』 泣きながら訴える那珂…それを抱き寄せる提督…この時、弱りきってって精神が全壊し、おそらく重度のPTSDを発症しているであろう ぜかまし 、 赤木ねぇたま 以外の他の艦ムス達は薄々きずいていたのだ… 『ぜったい提督が電ちゃんをはめたんだ!(たぶん那珂ちゃんも共犯)』…と 実は、国内の大手証券会社の創業者一族の息子で長男のボンボンの提督が『艦ムス』活動を行っている理由は『可愛い娘とヤりまくれるから。』 レベル上げやゲームなんざ二の次だった。それが理由で自分の好みの艦ムスのみを数人しか集めなかったのだ。 そうだと解っていても提督に逆らうと本当に何をされるか解らないと言う恐怖から、艦ムスたちは提督に何も言えず、今まではうつむくしかなかった。 しかし、その『恐怖』の出来事が今日、突然、何の前触れもなく起こった…。 本当に、本当に提督の艦隊は最悪だった。普通に出撃する事すらできない。出撃できる条件は『強さ』ではなく『提督とのヤった回数』だった。 出撃できないと言う事はバイト代に直結する為、生活の掛っている艦ムスは必至だった。 家の借金を返済したいあかぎねぇたまなどは提督に進んで体を差し出して、家庭に迷惑を掛けまいと提督宅で一日一食のご飯も一杯食べさせてもらってたし、 ぜかましは両親ともに他界し、兄弟たちを食べさせるために多くの現金を得ようとわざと薄着をして提督にいつでもいじられやすい恰好をわざとしていたのだった…。 逆に加賀さんの様に 加賀『わたし、夫が居ますんで、そういうのは無理です。提督はヤる事しか頭にないのですか?真面目にゲームされ無いんだったら働かれてはいかがですか?』 などと口答えする艦ムス達は自分で止めて行ったか、提督によりお払い箱にされていたのだった…。 しかし、ビッチでヤンデレで頭のズレてる那珂ちゃんだけはは提督と本気で付き合ってた。 …那珂ちゃんは提督を愛していた。提督も少し頭が足りないが見かけは可愛い、常に中出しさせてくれる那珂ちゃんを気に入っていた。 DQNカップルとしてはお似合いの二人だった…。 そう、電たんはリア充DQN達にハメられたのだった。 304 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 21 54 37.37 (p)ID Fc+CvhM0(20) 第一章~仕組まれた模擬演習編~のまとめ☆ 提督の田舎のヤンキー先輩である敵提督から模擬演習のお誘いと、 ドロップした電たん返還のメールが届く。 提督も電たんを処分したかったため、 ドロップと言う形で二度と艦隊にもどる気が起きない様に クラブに艦ムス達に電たんの過去を暴露し、電たんの心ズタズタに傷つけた上で 電たんを回収した。 提督は鬱陶しい電たんを処分でき大満足。 那珂ちゃんは女狐を処分で来て内心大喜び。 それでは2章に行きます。 305 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 21 56 09.83 (p)ID Fc+CvhM0(20) 第二章~復讐編 電の本気を見るのです☆~ 裏切り者の汚名を着せられた電たんが艦隊から消えた後、艦隊を解散した提督(25)となかちゃん(17)がめでたく出来ちゃった婚で結婚。 提督の艦隊に居た艦ムス達も他の派遣先へとドロップされていった。 それから14年後。提督は艦隊活動を卒業し親のコネで都内某大手商社へ勤務。 那珂ちゃんも年収一千万超えの一流サラリーマンの専業主婦として東京都二子玉川でセレブ暮らしをしていた… これがずっとこの生活が続くと思っていた… そう、一人息子の高校受験の前までは… 異変は息子が都立中学から高校受験をする年、中学三年の春に起こった… 息子はそれまで受けたいと言っていた山手線目白駅の近くにある某有名私立高校を『うけたくない、中卒で働く』と言い出しグレはじめたのだ… 有名商社に勤め、自慢の跡取りが急変した事に激怒する父(元提督)、泣き崩れる母(那珂)。 そんな中、その年の11月1日、息子が『中学卒業したら俺この人と結婚するから』と女性を連れてきた… その女性を見て顔面蒼白&ガクブルの父(元提督)、崩れ落ちる母(那珂)。 そこに立っていたのは、印章は少し変わったが14年前、敵魚雷アニキに車で連れ去られた電たんだった…。 14年前、電たんはあの後、都内某所に有る敵総督の家に連れ去られ、3歳になる娘と一緒にねちっこいプレイをされながら、 提督がメール添付で送ってきた、ビデオカメラ(提督が部屋に仕掛けた、いつもはハメ撮りをするための高画質カメラ)の映像を見ていた。総督の 『マジか? オイ、マジか? あいつ、どんくさい奴だったけど体だけは最高だったんだがな!! マジねぇわwwてか裏切り者がいなくなって良かったと言えば良かったんじゃね? あいつ、『付き合ってほしいのです☆』とか言ってしつこかったんだよね~。 俺には那珂っていうマブイ彼女がいるっつーのww電、てめぇは遊びだったんだよwヴァーカ!! マジすっきりしたわ~、なぁ皆もそう思うだろ?思うよなぁ!?』 と言う発言も聞いていた。 …エッチの時に提督が言ってくれる優しい言葉を信じていた素直で単純な電たんは、この時初めて提督の本音を知った。 306 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 21 57 32.95 (p)ID Fc+CvhM0(20) そして、やっと…、やっと、生まれて初めて出来た『仲間』と、帰る場所を失った電たんの精神はついに大破。 それから敵提督と魚雷アニキ達はまるで死んだ魚の目のになった虚ろな電ちゃんの体を飽きるまで凌辱し、その後は電たんを21歳で吉原に売り飛ばしたのだった…。 しかし、持ち前の可愛さと、『なのです☆』言葉を使うキャラを生かし、驚異的な指名率を誇った電たんは 30才前に自由の身になった…電たんは頑張った…… そう…あの那珂ちゃんと提督に復讐する為に… そうして息子に近づき、息子を性のトリコにし、家庭を合法的に崩壊させる事にしたのだった… …そしてこれまで有った事を全て三人の前で語る電たん… 提督は足から崩れ落ち、那珂ちゃんは号泣で地面に這いつくばり、息子は泣きながら発狂。 そしていかずちたんは笑いながらその場を去った…。 電『あはははっ やったのです! やってやったのです!! 家庭崩壊!提督撃沈!那珂大破!頑張ったのです!! 電は本気をみせたのです!!』 その年、提督の家庭は崩壊。親の遺産相続で立てた都内某所の立派な一軒家も数年後には競売に出される事となった… 307 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 21 59 26.07 (p)ID Fc+CvhM0(20) 第二章~復讐編 電の本気を見るのです☆~のまとめ☆ 鬱陶しい電たんを処分する事が出来た提督は、那珂ちゃんと出来ちゃった結婚。 電たんは3歳から14歳まで性的虐待受けていた敵提督の家に連れもどされ、 そこで提督の本心と彼女である那珂ちゃんのことを初めて知ったのだった…。 精神的に不安定になった電たんは、昔の様におもちゃのとして扱われる女の子にもどる。 21歳で吉原に売られるまで、滅茶苦茶に犯された電たんは、提督と那珂ちゃんへの復讐を誓う。 血がにじむような営業と努力で吉原を卒業した電たんは、 ついに提督と那珂ちゃんに復讐を遂げる。彼らの家庭は崩壊した。 短いですがこれで2章はおわりです。 それでは最終章の3章始めます。 309 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 22 00 43.80 (p)ID Fc+CvhM0(20) 第三章~アフター編 みんなのその後~ その後、提督の息子は高校には進学せず、柄の悪い連中とつるむ様になり、 親名義のキャッシュカード(プラチナカード)を盗み、新宿、六本木で17の時から豪遊。 親にばれ、カードを留められてからはマコムやプロミヌ、マイフルなどのサラ金から金を借りるようになり、 実家の資産を食いつぶしてしまう。 ハタチの時渋谷の某クラブで覚せい剤を打っているのを警察に現行犯逮捕。取り調べの際 『好きでやっているんじゃないんだ!! 奴が…あいつが来るんです!これをしないと不安で堪らないんだ!!助けてくれぇ!!』 と言ったという。 ドラック逮捕者専用の刑務所にて現在服役中。 元提督は息子の変貌ぶりに精神を病むようになり、勤めていた某大手商社を自己都合により退職。 その後、精神科への通院に使用している京王井の頭線で、股が緩そうな女子大生に 『この人、痴漢ですっ!!』と虚偽の告発をされ、現行犯逮捕。 無実の罪で服役し8月に出所する。 提督はその年の12月、代々木公園で、段ボールにくるまって凍死しているのを通行人に発見される。 生前彼は家の中で 元提督『赤いのが…!ほら、そこに…!!来るなっ…!俺は悪くないんだ…!!』 と意味不明のうわ言を言い続けていたと言う。 那珂ちゃんは、夫の失業後、夫宅の遺産で生活を切り盛りしていたが、ドラ息子の悪行により、 資産もなくなり、更には息子がマコムやプロミヌ、マイフル等の街金かで作った借金の取り立てに怯え、次第にひきこもるようになる。 しかし、借金のかたに家を取られてからは、東京を離れ神奈川郊外のボロくて安いアパートに一人で住むようになる。 コンビニバイトをしていたが、続かず、30過ぎで風俗の姫デビュー。 神奈川県横浜市中区桜木町に有る某安マッサージ店で働いていたが、まるで別人の様になってしまった… 『戦艦のアイドル!那珂ちゃんだよ~!!』と言っていたあのころの面影はもうどこにも無かった。 ただただ疲れ切った顔をして、白髪の混じったお団子ヘアーの那珂ちゃんがそこに居るだけだった…。 そして、半年前から通っているメンタルクリニックで 那珂『最近赤いのが来るんです…気が付いたら視界の隅に…ほら! 今先生の後ろを…!! うわぁぁぁぁぁ!!』 と叫びながら暴れ、医師を負傷させた為、某国立精神病院へ強制入院となった。 しかし、医師と看護師の目を盗み屋上からヒモ無しバンジーをし、帰らぬ人になってしまう…。 310 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 22 01 42.62 (p)ID Fc+CvhM0(20) 敵総督は親の後を継ぎ、大企業の社長になった。 親の代より兼ねて闇社会とのつながりを指摘されていたが 世襲である彼もまた、その『遺産』を受け継いだようだ… しかしそれも長くは続かなかった、不摂生な生活をしていたせいもあり、癌となったのだ しかも発見が遅れたため、発見時には既に末期状態だったと言う… 寝たきりとなった敵総督は会社を弟に託して引退し、療養を続けて居たが今年の初め死亡した。 生前病室で毎日深夜ナースコールを押し、 敵総督『赤いのが…赤い奴がくるっ…奴が夜になるとくるんだ! 俺を一人にせんでくれぇ!頼む!!』 とうわごとのようにしゃべっていたと言う。 敵魚雷アニキたちは、覚醒時代から『同好会』と言う形で敵総督の艦コレ活動に参加していたロリコンどもだったが、その実態は 昼間は真面目に働くサラリーマンだった。試合のある日のみ、魚雷に変装し人間将棋の様に人の駒としてゲームへ参加し汗を流しす事を楽しみ、 夜には打ち上げも兼ねて敵提督の監禁している幼女を楽しむと言う鬼畜どもだった。 彼らの大半は同じ某有名大手電気機器製造業メーカーに勤める営業マンだった為、時間を合わせて艦コレに参加する事が可能だったのだ。 しかし、それが災いした。 彼らの会社では年に一回慰安旅行が有り、バスをチャーターして遠出をしていたがそのバスが高速道路の縁石に激突し横転してしまう。 多くの死傷者を出したが、不思議な事に亡くなったのは敵総督の艦コレに参加した社員のみだった。 運転手の供述によると、濃霧の中、高速道路に立つ赤い服を着た女性がおり、それをよける為ハンドルを切ったら縁石に激突し横転したという。 それ以外の会社や自営業をしていた魚雷アニキたちも、不慮の事故や経営不振による自殺など、誰一人生き残った者はいない。 皆一様に死ぬ前に『アイツ』を見たという。 311 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 22 02 26.45 (p)ID Fc+CvhM0(20) 電たんの長女(文月?本当の名前は電しか知らない)は11歳の初産の時に死亡、元々、生まれてから戸籍登録もなく、医者も秘密を守るロリコン医者による無保険診療だった為、 何の個人データも持ち合わせていなかった…名前すらも… 遺体は魚雷アニキの一人が務める火葬場で火葬。彼女が生きていた証の小さな骨壺は墓地の納骨堂に無縁仏として入れることとなった。 電たんの長女の長女は、2歳から毎日エッチ三昧。お外に出してもらえず、 お勉強も絵本の代わりにエロ同人を渡され、エッチの事しか知らない幼女セクサロイドに。 敵総督たちがいかずちたんや、いかずちたんの娘で得た幼女開発テクニックにより、 強力吸引ポンプでクリトリス調教されたり、マンコやアナルには何でも楽々入る体に改造されたのだった…。 しかし、敵提督の死亡後、児童養護施設に預けられることとなり今は『りゅうじょう』ちゃんと呼ばれているらしい。 龍驤ちゃんは現在、その施設の職員さんの相手をするのを夜な夜な楽しんでいるという…。 しかし、そんなお盛んな龍驤ちゃんが最近、妙な事を言うようになったのだ。 夕方、龍驤ちゃんはたまに施設の二階から窓ガラスの外を見て、 龍驤『ねぇほら!あの赤い人お洋服のおねえちゃんなんよ!あのおねぇちゃんがりゅうじょうを守ってくれるんや!』 と職員たちに楽しそうに言うのだ…。 児童養護施設の龍驤ちゃん担当女性ケースワーカーは、度重なる性的虐待のストレスで幻覚を見ているのだろうと思っていたが、 最近施設で奇妙な事が起こるようになった事も気になっていた… 他の児童が廊下で『赤い女の人がたまにいるんだよ?』と言っていることだ… そんな中、たまたま夜勤明けのケースワーカーの彼女は目にしてしまったのだ… 龍驤ちゃんの見つめる先に、薄い茶色のざんばら髪をピンクの髪留めで止めた、腐った魚の様な目を見開いて斜め上を見つめる、顎がゆがんだ赤い服の女性を… ?『あはぁ…!あは、あはははっあはははっあはははははははははあははははははは!!!!!!』 とその赤い服の女は耳に残る不気味な声で笑っていた。彼女は腰を抜かしたが、龍驤ちゃんは楽しそうに話しかけてきた 龍驤『これがね、”い…ずま”おねぇちゃんなんよ、すっごくつよいんやで~☆』 名前だけが良く聞き取れなかったがその女から目をそらし戻した時には女はすでに消えていた。 彼女それを仲間に話すと『疲れてるのよW』と言う話になり彼女自身もそうだと思い帰宅する事にした… しかし、彼女がその事について二度と語る事は無かった…帰宅途中、居眠り運転車両と接触事故を起こし帰らぬ人となったからだ。 312 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 22 04 19.66 (p)ID Fc+CvhM0(20) 電たんはどこにいったのだろうか…? 正直な所、電たんの詳しい消息は最近まで分かっていなかった。ただ、唯一解っていたのは提督の家に乗り込んだその次の日に 静岡方面へ向かう彼女の愛車とそのナンバープレート。そしてその運転手が高速道路の監視カメラに映っていたという事実だけだった。 その時運転手が身に着けていた服は、電たんが、吉原で愛用していた艦コレ活動で着ていたセーラー服に似た赤いドレスだった…。 数年後、ふざけて樹海を探索する4人の地元の大学生グループが樹海のけもの道の先で一台の赤い車を発見した。 車は車両で入れるギリギリの所で発見され、そこに至るまでの悪路で車体は傷つきL外部は塗装が所々剥げ、苔むしてはいたが、窓はしまって居た為、車内に私物と車検書がそのまま残っていた。 キーは付いたままでドアを開ける事が出来た為、彼らは中を見ることにした。 中にはボロボロの車検書と電たんが吉原の仕事でよく使っていた赤い服、そして有効期限の切れた免許証がこの車が電の物である事を物語っていた…。 しかし、若者はその車検書の近くで妙な物を見つける。長い年月と雨漏りの水で腐食しボロボロの1冊のノートだったが、かろうじて読める所はあった。 内容からどうやら、数年書き込むタイプの日記調の様だった。そこには女の子らしい可愛い字で何やら書いてあった。 (以下…は腐食により判読不能な部分) ????・11・2 『……………………た!これで……………(判読不能)…………………よ。明日…海に行って、自…するんだ………………………………………(判読不能)…………………………………………っとさよならできる。』 …所々読み取れる文章から意味不明で。日記は20××年11月2日で終わっていた。 若者はそれが何かは解らなかったが、生理的に嫌な物を感じ、手を放してしまった。 車内に残された物で持ち主が女性だったと想像できた為、好奇心も有り、若者たちは念の為車の周りを調べる事にした… 車の置いてある場所から20メートルほど進んだ時だった。前方に防空壕の様な窪みが有り、その奥に白い物が見えた… それは赤い服を着たまま亡くなった女性者と思われる白骨化した亡骸だった。 白骨化していたが、明るい茶色の髪の束と、ピンクの髪留めが下あごの骨がズレた頭蓋骨の横に固まってそのまま残っていた。 そして遺体の上には、電たんが艦コレに楽しく参戦していた頃に来ていた可愛いセーラー服のデザインに良く似た色あせて苔むした赤いコート… 穴の周りには彼女のお気に入りであったであろう女の子らしい、ちっちゃくて可愛い小物やアクセサリー類、精神科で処方される強力な睡眠薬の他、 注射機や白い粉の様な物が入ったビニールの小袋等が、女性用の可愛いバッグから出て散らばっていた。 彼女が生前精神を病みドラックに手を出していたことが伺わせていた。 その後、手を合わせ110番で通報し現在地を手持ちのGPSで知らせる若者たち。 警察が到着し、事情を聴かれる4人、その時樹海を駆け抜ける風に乗って、木々の擦れる音と一緒に女性の声が聞こえてきた。 木々の音 『ザーー…ザザーーー……ザーーーー……ザーーーーーー………ザーーーー―……ザー……』 ???? 『………な………………の……………で………………す…………………………………………』 そこにいる警官、大学生全員が確かにその擦れるような弱弱しい声を聞いたのだった。 明るくはなかったが優しい声だった… 彼らは、全員で変わり果てた彼女に手を合わせ、顔も解らない彼女の冥福を祈る事しかできなかった… 313 :なのです☆ :sage :2013/10/29(火) 22 05 24.44 (p)ID Fc+CvhM0(20) 第三章~アフター編 みんなのその後~のまとめ☆ その後みんなはどうなったのかの解説☆ 詳しい事は文章を読んでね☆ 提督と那珂ちゃんの息子 …精神的に不安定となり、ドラックに手をだし逮捕。日常的にみる幻覚から逃れるためにドラックをしていたと供述している。 現在服役中。 元提督 …精神が不安的となり、仕事を退職。 自責の念からか幻覚を見るようになり、 最終的に代々木公園にて行き倒れる。 警察の司法解剖の結果凍死との事だった。 那珂ちゃん …息子がてを付け慣れないほど荒れ、夫も無くし精神的に不安定となる。 全ての資産を失い、生活の為に風俗嬢をするが心的ストレスからか、幻覚を見る様になり他者に危害を加える様になったため 国立精神病院に強制入院させられるが、屋上から飛び降り帰らぬ人となる。 敵提督 …実家の遺産を引き継ぎ何不自由ない生活を行っていたが、不摂生な生活の末、末期癌に侵され亡くなる。 強い抗がん剤を服用していたせいか幻覚を見るようになり亡くなる前は極度に怯えるようになっていた。 敵魚雷アニキ …彼らの大半は同じ職場で真面目に働くサラリーマンだった。 しかし、同じ職場であったため、慰安旅行のバスアーにて、ツアーバス会社の運転手が起こした事故により 全員帰らぬ人となった。その他、電にかかわった全ての魚雷アニキは何らかの形で亡くなったと言う。 いかずちたんの長女(戸籍登録されておらず名前も無い) …12歳で誰の子供か解らない女児を出産。初産で有った事と、出産時の年齢が低すぎた事も有り母体に負荷が掛り過ぎて死亡してしまう。 遺体は当時魚雷アニキの一人が務める火葬場にて火葬され、無縁仏に葬られる。 龍驤ちゃん(雷たんの長女の子供) …敵提督の執拗な性的虐待を受け、ド変態に育つ。 敵提督の死後、電に関係する人物が次々に死亡した為、身元引受人に名乗りを挙げる者がおらず、児童養護施設へ入る。 空中を見つめ”何か”と一緒に、子供の良くする一人遊びをしていたが、 ケースワーカーがその”何か”目撃するも、ケースワーカ―が死亡した為、その正体は不明。 いかずちたん …提督と那珂ちゃんの家庭を崩壊させた次の日、高速道路の監視カメラに静岡方面へと向かっているのを目撃された後 行方不明に。 その後遺体と所持品や車、遺書らしきものが発見されるがその状況から、提督と那珂ちゃんに報復した翌日には 睡眠薬や安定剤、違法ドラック等の薬物の多量接種によりオバードース(急性中毒)となり、冬、誰も居ない樹海で動けなくなり凍死をしたと思われる。 (既に白骨化していたため何を摂取したか等の詳しい事は不明) 第一発見者や警察官ら全員が遺体の周辺で女性の声を聴いたと言う。 THE END